東京の郊外、町田市で“稼ぐ町の電器店”として知られる「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、売り場を絶えずチェックして問題がないかを確認し続ける。場合によっては、過去の自分の意思決定を否定して新しい取り組みを始めることもある。当たり前を疑えば、改善点は見つかるという山口社長。その極意を紹介する。

 売り場の改善に終わりはない━━。

 こう言うのは簡単ですが、実行し続けるのは、なかなか難しいものです。忙しい日常業務に飲み込まれてしまうと、昨日までの取り組みが当たり前になり、いつの間にか変化に対応できなくなります。

 改善を続けるには、過去に自分が意思決定した取り組みさえ、時には疑ってみる必要があります。時代や環境の変化によって、もはや商売にはマイナスになっている場合があるからです。

電器店の店頭で青果物を30年以上販売

 具体例を挙げましょう。ヤマグチでは毎週末、何らかのイベントを開いていることは以前、お伝えした通りです。実はそのイベントと並行して、駐車場の一角にテントを張って青果物を手頃な価格で売っています。これは2015年に店を移転する前から手掛けていることです。

週末の野菜の販売は「無人販売」に変えた
週末の野菜の販売は「無人販売」に変えた

 狙いは、気軽に店に入ってもらうためです。最初は野菜や果物を買ってもらうだけでも構いません。何度か足を運ぶうちに、ついでに家電を買ってもらい、徐々に常連さんになってもらえばと思って続けています。もちろん、私自身の決断で30年ほど前から始めたことです。

 青果物を集中的に売るアルバイトを1人雇い、売り場のすぐ近くにレジを設けて、その場で売っていました。昨年10月、この販売方法を思い切って変えることにしたのです。

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