東京都の郊外、町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。昨年10月の新店オープン後、近所の養鶏所から卵を毎日仕入れて店頭で売り始めた。店に気軽に立ち寄ってもらうように、もともと旧店でも食品は売っていた。では、今回、なぜ一歩踏み込んで地元の食材にこだわることにしたのか。そこには地域貢献に力を入れる山口勉社長の思惑があった。今回は、その真意と効果を解説する。
新店オープンを機に、近くの人気養鶏所から卵を仕入れて毎日売り始めました。
これだけ聞くと、どこの食品スーパーの話かと思うかもしれません。しかし、これはまぎれもなく町の電器屋さんであるヤマグチのエピソードです。
昨年10月に新店をオープンするに当たり、周辺にどんな飲食店や物販店があるのかどうか、個人的な興味もあって調べてみたことがきっかけです。新店から車で少し行った神奈川県相模原市の街道沿いに、養鶏所が7つある、通称「たまごロード」という場所があることが分かりました。
せっかく卵がこれだけあるなら、うちで売ってみようと考え、協力が得られたところの卵を店頭で売り始めたのです。スーパーよりお買い得ということもあって、売れ行きは上々です。

地元の卵を売るのは新しい姿勢の表明?
以前、この連載で説明した通り、ヤマグチは気軽に店に入ってもらえるように、もともと店頭で果物や野菜、乾物、はたまた米まで、様々な食品を売ってきました。しかし、新店オープンを機に一歩踏み込むことにしたのです。それは地元産にできるだけこだわること。では、ここへきて新しい姿勢を表明したのはなぜだと思いますか?
答えは地域貢献です。これまでも地域密着型経営を進めてきましたが、それをより深化しようと思ったのです。
地域貢献に力を入れる理由は主に2つあります。1つは、50年以上町田で商売させてもらっているので、そのことに純粋に感謝したいから。もう1つは、町田周辺に住む人や地元の企業のために尽くせば、その姿勢に共感したお客さんと強い信頼関係が生まれ、長い目で見ると、大きなプラスになると考えたからです。
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