ふるさと納税は、災害への善意の寄付も後押し

 日本には「寄付」という文化が根付かない、としばしば語られる。寄付税制が貧弱だから、寄付が増えない、という声もある。

 だが、それは本当だろうか。

 東日本大震災などの大きな災害を機に、善意の資金を寄せる人たちが急増した。その背中を押しているのが「ふるさと納税」である。ふるさと納税は、当初は税金の「付け替え」というアイデアから始まったが、それを「寄付」の枠組みを使うことで実現した。その結果、「寄付」のハードルが大きく下がったとみていいだろう。

 ふるさと納税のワンストップ制度を使えば、確定申告なしに「寄付」の税金控除の手続きができる。しばしば、ふるさと納税には「上限」があるとされるが、これは自分の住民税から控除され、実質的に数千円の負担だけで「寄付」できる額のこと。それを超えて寄付しても自己負担額が増加するだけで、まったく税制上のメリットがなくなるわけではない。

 ふるさと納税による寄付の総額と、税金の控除額の合計には大きな差ができ始めている。つまり、「上限」を超えて寄付している人がたくさんいる、ということなのだ。着実に日本に寄付文化が根付き始めているとみていいだろう。

 自治体によっては、ふるさと納税の枠組みを使って、被災自治体の代わりにいったん寄付を受け付け、手続きなどを「代行」して、最終的には被災自治体に届けるという寄付の仕組みを作りだしたところもある。これも厳密にいえば、総務省が言うところの「ふるさと納税の本当の狙い」からは外れた活用方法ということになるだろう。だが、そうした工夫を生んだことにこそ、大きな意味があるのではないか。

 日本では12月を「寄付月間 Giving December」と名付け、寄付について考えたり、寄付を実行したりする月にしようという運動が始まっている。「締め切り」が迫るふるさと納税の返礼品を選ぶ際に、「寄付」について思いを巡らすのもひとつの社会貢献と言えるだろう。

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