株高による「資産効果」が追い風に

 問題は、日本国民などによる国内消費に火がつくかどうか。高額品の売れ行き好調は消費が盛り上がる予兆と見ることもできるが、果たしてどうか。もちろん外国人観光客は免税品だけを買うわけではないので、国内消費にも貢献しているが、国民が消費を増やさなければ、力強さは戻ってこない。

 そこで、全国百貨店売上高から免税売り上げを引いた「実質国内売り上げ」を計算し、対前年同月比を見てみた。対象店舗数が違うので、正確な数字とは言えないが、それでも傾向はわかる。

 2016年8月から2017年8月まで1年にわたってマイナスが続いていたが、2017年9月は1年2カ月ぶりにプラスに転じた。ところが10月はマイナス4.2%と、再び減少に転じてしまった。台風など天候要因が大きかったので、一喜一憂はできないが、今後の動向を注視する必要がありそうだ。

 高額品消費に追い風はまだある。株価の大幅な上昇によるいわゆる「資産効果」だ。日経平均株価が9月中旬に2万円を突破、10月に入ると上げ足を早め、2万2000円台に乗せた。海外投資家が買い越しを続けていることが大きいが、一方で日本の個人投資家は株式を売り越しており、値上がりによる利益を獲得しているものとみられる。

 株価の上昇によって利益を得たり、含み益が増えたりしたことで、財布のひもが緩み、それが消費に回る。「資産効果」による消費は、日頃は買わない高額品などが売れることだ。百貨店の「美術・宝飾・貴金属」が、外国人観光客だけでなく、日本人富裕層に売れ始めるようになると、消費が本格的に底入れする可能性が出てくる。

 国内消費が低迷を続けたままだと、2019年10月に予定される消費税率の引き上げに暗雲が漂う。安倍晋三首相は消費増税分の使い道を争点に10月に解散総選挙を行っており、現在8%の税率を10%に引き上げることは既定路線だが、消費が低迷したまま増税に踏み切れば、さらに消費が落ち込み、景気を失速させることになりかねない。

 2020年には東京オリンピック・パラリンピックが控えており、これに向けた建設投資や設備投資などが2018年は佳境を迎える。景気は一段と力強さを増すに違いないが、それが消費に回るためには、安倍首相も言うように働く人たちの給与が増えて「経済の好循環」が起きることが不可欠になる。

 日本を訪れる外国人の消費を多様化することも課題だ。免税品を狙った「買い物ツアー」では、消費対象は限られる。しかも免税手続きをした場合、消費税は入って来ない。せっかくやってくる外国人にもっとおカネを落としてもらう工夫が必要だろう。

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