このままでは「国民皆保険」が瓦解しかねない

 それが高齢者医療制度で「支援金」の負担が年々大きくなり、健保組合の財政は一気に赤字となった。赤字から脱するためには、保険料を引き上げるしかないが、それも限界に近づいている。健保組合が解散すれば、国の仕組みである国民健康保険(国保)や、中小企業などを対象とする「協会けんぽ」に加入することになる。これも自立運営が建前だが、財政は厳しく毎年1兆円以上の国庫補助などを受けている。

 協会けんぽの保険料率はおおむね標準報酬月額の10%(労使合算)前後になっている。また、国保は保険料が高いことでも知られ、保険料が払えずに「無保険」状態に陥る人もたくさんいる。

 このままでは「国民皆保険」が瓦解することになりかねない。上昇し続ける医療費を抑制することも重要だが、保険を構成する人口構造が、逆ピラミッドになってしまえば、仕組みそのものが成り立たない。負担する人よりもらう人が増えれば相互扶助は限界なのだ。

 1つは健康保険財政を支えてくれる、若くて健康な働き手を増やしていくことが、国民皆保険を永続的な仕組みとする上でも不可欠だ。ズバリ、外国人労働者を積極的に受け入れ、その上で、彼らにきっちり保険料を負担してもらうことが必要なのである。日本の社会保障制度、セーフティーネットを支える一員になってもらうということだ。

 ともすると、不正をして利益だけを得ようとするフリーライダー(タダ乗り)にばかり目が向きがちだ。だが、多くのまじめな外国人労働者は、きちんと税金を払い、社会保険料を負担して、日本社会の一員としての義務を果たそうとしている。

 いや、日本社会の一員として、きちんと義務を果たしてもらう仕組みを整え、その恩恵として質の高い医療を受けられるようにしなければならない。外国人労働者を単なる労働力とだけ考えるのではなく、社会を構成する一員、生活者として受け入れる仕組みを早急に整えなければならない。

 健康保険だけでなく、年金制度も同じだ。日本人でも米国勤務が一定以上の期間に及んだ人なら、米国から年金をもらっているという人も少なくない。日本できちんと働き、厚生年金を掛けた外国人には年金が支払われる仕組みを整えなければ、日本で長期にわたって働こうという外国人も出てこない。外国人受け入れ拡大を機に、社会保障制度を抜本から見直す必要がありそうだ。