自主規制法人は本当に「独立」しているのか

 自主規制法人の関係者によると、反対したのは増田氏。川北氏も厳しい発言を繰り返していたが、政策的な判断には関与したくないとして、反対には回らなかったとされる。

 問題は、この自主規制法人が本当に「独立性」が高い組織なのかどうか。内部理事の3人は東証の利益を第一に考え、目に見えない投資家よりも、日々接する上場企業寄りの判断をする可能性がある。だからこそ、7人中4人は外部理事とすることになっている。だが前述の通り、佐藤氏は金融庁からの天下りである。

 久保利弁護士と入れ替わった石黒弁護士は森・濱田松本法律事務所のパートナーだ。実は森濱田は東芝の顧問事務所である。自主規制法人の関係者によると石黒氏は就任にあたって森濱田を退職するという話だったが、現在も同事務所のホームページにはパートナーとして名前が載っている。外形的に見て重大な利益相反があると言えるだろう。

 自主規制法人が東芝を守ったからといって、これで東芝の上場廃止リスクが消えたわけではない。二期連続で債務超過となれば上場廃止になる、東証の基準に触れる可能性があるのだ。臨時株主総会で決めた半導体事業の売却が来年3月末までに完了し、売却益が入って来なければ、債務超過を解消できない。予断を許さない状況なのだ。

 最近、日本取引所グループの清田瞭CEOに対して、この上場廃止基準を変えろという圧力が加わっている、という話が流れている。二期連続の債務超過でも東芝が上場廃止にならないように、というわけだ。

 この点について佐藤氏は手記で「この基準が揺らぐことは決してないと、はっきり申し上げておきます」と断言している。上場廃止のルールが決められているのは、腐ったリンゴを市場に起き続けた場合、それを買ったお客が損失を被るからだけではない。腐ったリンゴが当たり前に市場に置かれるようになると、市場としての秩序が守れなくなるからだ。

 株価の上昇とともに、再び海外投資家が日本の株式市場に目を向け始めている。その市場の質を守る自主規制法人が、「資本市場の秩序を維持し、投資家を保護すること」を第一に考える組織に、早急に生まれ変わることを望みたい。