「インバウンド消費」の減退で、百貨店にも影響が出ている。写真はイメージ(写真:PIXTA)

百貨店売上高に現れた消費の変調

 足元の消費が弱い。10月23日に日本百貨店協会が発表した9月の全国百貨店売上高は前年同月比3.0%減と、3カ月連続でマイナスになった。西日本豪雨災害や相次いだ大型台風の来襲、連日続いた酷暑、そして北海道胆振東部地震と、自然災害によって経済活動が大きく影響を受けた。

 台風による高潮被害で関西国際空港が一時閉鎖されたことや、北海道の地震で、増え続けてきた訪日外国人観光客も減少した。JNTO(日本政府観光局)の推計によると9月の訪日外客数は216万人と、前年同月比で5.3%も減少した。訪日外客数がマイナスになったのは2013年1月以来、なんと5年8カ月ぶりのことだ。

 訪日客は日本の消費にも大きく貢献してきた。百貨店で免税手続きをした売上高は9月は246億5000万円で、百貨店全体の売上高4197億円の5.9%を占める。いわゆる「インバウンド消費」である。免税売上高は、前年同月と比べればまだ6%増えているが、前月比では6カ月連続のマイナス。2014年10月に外国人観光客の免税範囲が拡大されて以降、6カ月続けてマイナスになったのは初めてのことだ。

 百貨店の売上統計を使って、この「インバウンド消費」を除いた純粋な「国内売上高」を計算してみると、7月は7.3%減→8月1.3%減→9月4.1%減と大幅なマイナスが続いている。百貨店売上高を見る限り、完全に消費は変調をきたしているのだ。

 そんな中、安倍晋三首相は、10月15日に臨時閣議を開いて、2019年10月からの消費増税を予定通り行うと改めて表明した。実施まで1年を切ったにもかかわらず、世の中が「どうせまた延期だろう」とタカをくくって、システムの改修などに着手していないというのだ。特に中小企業の準備は進んでおらず、「このままで増税して混乱が起きないのか」といった危惧が政府内から上がっていた。特に来年の増税時には「軽減税率」が導入されることが決まっている。そのシステム対策が間に合わないのではないかという焦りがあるのだ。

 安倍首相がわざわざ「念押し」したにもかかわらず、エコノミストや大手メディアの中には、それでも再度の延期はあり得る、という分析が見られる。安倍首相が2度にわたって消費増税を先送りした「常習犯」だということもあるが、それ以上に、足元の景気が悪く、ここで増税すれば消費が腰折れし、日本経済が失速するとみている専門家が多いということだろう。