今回、安倍首相が消費増税を1つの争点にしたことで、2019年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げが、形の上では、信認されたことになる。立憲民主党の枝野幸男代表が選挙戦の最中に指摘していたように、消費が弱い中で消費増税をすれば、さらに消費を冷え込ませて経済を後退させる危険性はある。

 確かに現状の消費は弱いが、一方で、2019年は東京オリンピック・パラリンピックの準備に向けた工事などがピークになるとみられる時期である。かなり景気が過熱している可能性は十分にある。消費増税による反動減は2019年10月から2020年9月にかけて顕在化することになるとみられる。だが、この時期はオリンピックを目当てに海外から多くの観光客がやってくることになり、通常に比べて「過剰消費」になる可能性が高い。通常ならば落ち込む消費を、オリンピック特需で埋めることになると期待できそうだ。逆に言えば、このタイミングで消費増税ができなければ、次にチャンスはないとみていいだろう。

憲法改正を優先するようになれば、経済軽視のリスクも?

 では、自民党完勝による「リスク」はないのか。

 最大のリスクは、安倍首相の「経済最優先」の姿勢がブレることだろう。与党で衆議院の3分の2を維持し、憲法改正に賛成とみられる政党の議席が8割近くを占める中で、安倍首相が、経済よりも憲法改正などを優先するようになれば、アベノミクスで掲げた経済改革がないがしろになる可能性が出てくる。

 もともと安倍首相は「経済には関心がない」とも言われ、安全保障や憲法改正などを「悲願」にしているとされてきた。総裁任期が最後の3年ということになれば、自らの悲願達成を優先するということは十分にあり得る。

 アベノミクスで当初掲げた3本の矢の中でも、3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」つまり規制改革などはまだ道半ばだ。この3本目の矢に対する海外投資家の期待は高い。総選挙の勝利を受けた株高は、こうしたアベノミクスの改革が進展すると見た海外投資家の買いが背景にあるとみられる。その期待に安倍内閣が応えることができるかどうかが、今後の日本経済の行方にとって最重要になるだろう。

原稿執筆時では、まだ4議席が未確定だったため、本文中ではその時点での議席数を記した。確定後の各党議席数は以下のようになった。

自民284、公明29、立憲55、希望50、共産12、維新11、社民2、こころ0、諸派0、無所属22

[2017/10/23 18:00]