一方で、希望の党に合流せずに新党を立ち上げた立憲民主党は、解散前の15議席から一気に54議席にまで勢力を伸ばした。安倍内閣への批判票の多くが希望の党ではなく、立憲民主党に流れたとみていい。立憲民主党の当選者のうち23人が新人で、自民党の新人当選者19人を上回った。希望の党でも新人候補が善戦しているのを見ると、有権者の多くが「清新さ」「新しい風」を求めていたことが伺える。

 希望の党の失速の背景には「政策のネジレ」がある。安全保障などに対する考え方が違う議員は「排除する」と小池代表が述べたため、安全保障関連法案に反対してきたはずの民進党議員にとっては、「変節」を疑われることになった。一方で、小池代表は「右寄り」「保守」とみられている一方で、経済政策では「ベーシックインカム」や「内部留保課税」といった左派色の強いものを打ち出したこともあり、保守的な有権者にも違和感を持たれる結果になった。

 自民党は、野党側が「政権選択選挙」と位置付けたことを逆手に取った。これまでの安倍内閣の4年10カ月をどう評価するのかという「現状追認」か「現状否定」かといった二者択一を訴えたのだ。実際、自民党が大敗すれば安倍首相の責任問題になり首相が交代する可能性もあった。

景気が徐々に温まってきている予感を感じていた有権者

 多くの有権者が「現状追認」を選択したのは、経済の好転があるのは間違いない。野党側はアベノミクスの成果は出ていないと批判をしたものの、雇用情勢が明らかに好転するなど、景気が徐々に温まってきている予感を有権者が感じていたのではないか。

 第2次安倍内閣が発足した直後の2013年1月以降、雇用者数は前年同月比で増え続けている。雇用は200万人近くも増え、なお、有効求人倍率は高度経済成長期並みの高さを維持している。当初は非正規雇用の伸びが高かったが、ここ1年ほどは正規雇用の増加率が非正規雇用の増加率を上回っている。

 中でも、株価が上昇していることは、景気好転のムードを高めている。特に、選挙期間中に株価が上昇したことが、自民党にとっては大きな追い風になった。投票日直前の10月20日金曜日まで日経平均株価は14日間連騰し、1996年以来となる2万1457円を付けた。14連騰は56年ぶりのタイ記録だった。

 日本の株式は日銀や年金マネーによって買い支えられている、という指摘もあるが、米国を中心に海外市場でも株高が進んだことが大きい。特に海外投資家が日本株を再び買い始めた結果とも言える。

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