外国人の権利保護法制を整える必要
本音で向き合うべきだ、と。
玉木:1つは彼らを「労働者」というよりも「人」としてきちんと捉えることが大事で、同じ労働を日本国内で行っている以上、「同一労働同一賃金」をきちんと適用するなど、外国人の権利保護法制を整えなければいけません。上から目線で「入れてやる」といった感じですが、アジアは急速に豊かになって、韓国や中国との間で雇い負けしてしまう。人間としての働く環境をどう整えるかという視点で、法整備をしないと、結果的に日本人の賃金も下がっていく。
もうひとつ、日本語教育など、日本社会に順応するような定着の仕組み、制度をしっかり作らないと、かえって、いわゆる、欧米で言う「移民問題」が発生すると思います。
前者の人権とか対話の観点で言うと、例えば10年間家族と離れていろと強いる制度は人権の観点から認めて良いのかということを考えなければいけない。例えば子供がいるような場合には日本語教育をどうしていくのかも重要です。日本社会で暮らしていける環境を整えることが、犯罪を防止したり、社会の安定にもつながっていくと思う。
1960年代にドイツがトルコ人を労働者として受け入れた後、非常に社会的な摩擦が生じたわけですが、その際に大きな役割を果たしたのが教会と労働組合でした。政府だけではなく、宗教団体や労働組合が何をどう担っていくのか、そういう議論がとても大事だと思います。
日本の労働組合は外国人労働者の受け入れに反対してきました。そうした発想の転換は連合はできているのでしょうか。
玉木:変わりつつありますね。そこは連合の神津里季生会長とも話しましたが、「万国の労働者団結せよ」ではないですが、同じ働くものとして、やはり寄り添っていくことが必要だ、と。
外国人の権利保護法制などは、むしろ国民民主党など野党が言い出すと、国会で通るかもしれないですね。
玉木:人権や働くものを守りましょうという主張は一緒ですが、おそらく立憲民主党さんはどっちかと言うと反対ではないでしょうか。ただ、地域の中小企業の現場などを回っていますと、やはり圧倒的な人材不足で、外国人労働者なしにはやっていけない、と。中小企業がへタってくると日本経済はダメになってしまいます。経済を元気にする観点からも、この問題は考えなければいけません。
一方で、リベラルな観点で、労働者として、人として彼らのことを考える。その絶妙なポジションが、おそらく国民民主党が果たせる役割かなと思います。安倍さんみたいに何でもかんでもごまかしながらなし崩し的に入れるというのも反対だし、とにかく、入れちゃダメって何でもかんでも反対してる政党とも違いますから。
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