「異次元の少子化対策」でデフレマインドを変える

玉木:そのためには、再分配にも関わるんですが、教育や人材への投資が政策の1番の柱だと思っています。経済や社会を支えていく上でもある程度の人口維持は必要だし、何より社会保障制度はある程度働く世代がいないと成り立たない仕組みです。そのためにも、財政的支援もして少子化対策には全力を挙げる必要がある。「人の投資」はまさに言葉通りで、リターンがあると思います。私は「建設国債」ならぬ、「こども国債」を発行してでもやったらいいと思います。

子供のためなら、財源は借金でも構わない、と。

玉木:その代わり、使い切りの高齢者向けの医療、介護、年金といったいわゆる「高齢者三経費」には、税や保険料の財源をきちんと充てる。赤字国債で財源調達して、負担だけ子世代に残すのはやめるべきです。

 私は、財源の議論が非常に大事だと思っています。端的に言うと、将来の税収増になるものは借金でやってもいい、そうではなくて使い切ってしまう支出は安定財源をきっちり充てる、そういうメリハリが大事ではないかと思います。そういう観点からの財政法を見直して、ファイナンスのルール自体を変えていくことも重要だと思っています。

代表選の際に打ち出した、第3子以降に1000万円支給するという「コドモノミクス」への反応はどうでしたか。

玉木:賛否両論ですよね。しかし、私は合理的だと思っています。フランスは家族手当を支給しますが、第1子には出さずに、第2子、第3子と加算していきます。第3子には日本円で月3万2000円くらい出て、所得の低い第3子家庭にはさらに家族補足手当を1万8000円くらい出して、月5万円くらい貰えるんです。そうすると、子どもが大人になるまで貰う金額を累計すると1200万円くらいになって、1000万円を超えるのです。第3子1000万円と言うと大きく感じますが、20歳まで分割で毎月払うと4万円強なんです。

 民主党政権時代に始めた「子ども手当」が、児童手当と名前を変えて、第3子が1万5000円ぐらい出ています。ならば4万円にするには2万5000円の追加、財政で言うと1兆円ぐらいです。100兆円の予算の中で1兆円を出せないのか、という話です。1兆円の「こども国債」を発行しても、債券市場には影響ないでしょう。

それで本当に子供が増えれば将来戻ってくるわけです。

玉木:第3子1000万円というのはインパクトが大きいです。アベノミクスが「期待」に働きかけてデフレマインドを変えようとした点を私は評価しています。しかし、失敗した。

 デフレマインドの根源には連続的な人口減少があると思います。目に見えて人が減り、子供がいなくなって学校が廃校、統廃合となる中で、デフレマインドは消えません。人口のデフレマインドを変えない限り、明るい未来はないと思う。だから第3子に1000万円というまさに「異次元の少子化対策」で、人口のデフレマインドを変えることが一番大事ではないでしょうか。私はこのコドモノミクスで、人々の希望に働きかけたいですね。

人口減少対策として、外国人労働者の受け入れ拡大が動き出します。

玉木:安倍総理がやっている今の政策は「ステルス移民」だと思います。「移民じゃない」と言いながら移民なんです。心配しているのは、「移民じゃない」と言っている弊害が非常に大きいのではないか、と。まるで「原発事故は起きない」「安全だ」って言って安全対策を講じなかったのと一緒です。やはり移民であるということを正面から認めたうえで、移民対策をすべきだと思います。

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