国民民主党は「リベラル」か「保守」か

希望の党から国民民主党になって、「穏健な保守」という言い方はしなくなったようですが、国民民主党はリベラル政党なのでしょうか、保守政党なんでしょうか。

玉木:われわれは「改革中道政党」と名乗っていて、綱領には「リベラルから穏健保守まで包含する」と書きました。もはや右だ左だというのは意味をなさない時代になってきています。「中道」と言うのは右と左を足して2で割ると言うよりも、多様な意見がたくさんある、多様性を受容しながら、その中から丁寧に合意形成をしていくという「心持ち」が大事だと思います。その意味では、私たちは現実的な改革中道政党というポジションです。

 ですから、ポジションとしては相当幅広い層を取り込めます。そうでないと政権は取れないと思います。特定の思想信条を持つ層だけをターゲットにすると、非常に強い支持者が集まり、同志性は高まるのですが、今はいかに多様性をマネージメントするかが大事になっています。

安倍首相が一定の支持を得てきたのは、アベノミクスという経済政策を前面に押し出し、それなりに成果を上げたからだと思います。国民民主党はどんな経済政策を目指すのでしょうか。

玉木:まずは「再分配」を重視したいと思います。やはり特定の人に富が集まって、多くの人が平均以下の暮らしをする状況が世界的に起きています。再分配を重視して中間層を手厚くしていくことが必要です。そういう意味では、大きな政府というか、まぁ小さな政府路線ではありません。

 ただ、同時にビジネスを重視する政党でありたいと思っています。今までのリベラル政党は「再分配」を重視するが、再分配の元になる「成長」をどう実現するかに関しては、やはり弱かったと思います。経済政策や産業政策を重視しながら、再分配にウェートを置くというのが私たちのポジションです。

 自己責任だけを言う自民党とは違うし、他の野党との違いでもある。ですから、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などを使ったイノベーションを促進するために、規制緩和をどんどんやれという立場です。

 一方で、セーフティネットはしっかり敷く。人生いろいろありますから。上手くいくときも、悪い時も。あるいは子育て、出産、病気、いろいろなライフイベントがあっても、人間としての尊厳ある最低限の暮らしはできるようにする。その中で、しっかり競争して、新しい富や価値を生み出していく。逆に私は、安心がないとイノベーションも起きないと思っているんです。

なるほど。再分配だけでなく、分配の元になるパイも大きくする、と。

玉木:放っておくと人口の減少でパイは縮むので、維持するだけでも精いっぱいかもしれません。ただ、人口が減少していくことを悲観的に捉えるばかりでなく、AIやロボットを活用するチャンスでもある。AIで仕事の半分が奪われるといった話が出ていますが、日本は幸か不幸か人口が減少するので、うまくやれば、最適化した社会を日本で作ることができるかもしれない。

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