財政的に「自立」できている自治体は全国で4%に過ぎない

 不交付団体の数は、2010年度の42を底に増加傾向にあるとはいえ、ごくわずかだ。全国には1765の自治体が存在しており、その中で財政的に自立できているのは4%に過ぎないということになる。

 大都市圏以外の自治体で「自立」しているのは、北海道泊村や青森県六ケ所村、佐賀県玄海町などで、原子力発電設備が立地している自治体が目立つ。原発を引き受けていることで、電力会社などから巨額のおカネが自治体に入っていることが背景にある。財政的に自立しているといっても、イレギュラーなケースなのだ。

 地方交付税の建前は、地方税相当分を国が代わって徴収して再配分することで、どんなに税収の少ない自治体でも財政的に自立できるようにする、ということになっている。つまり、再配分によって地方の自立を促すための制度だというわけだ。

交付税に頼らず「自立」するのは夢のまた夢

 だが現実には逆の結果になっている。

 「交付税に頼らずに自立するというのは夢のまた夢。そうあるべきだとは思うが現実には無理だ」

 地域起こしに向けて様々な手を打っている、ある自治体の改革派市長はこう言って目を落とす。結局は、どうやって交付税を増やしてもらうか、が市長の手腕だという。交付税だけでは十分ではないので、国の事業などを引っ張って来ることも重要になる。月に何度かは東京の霞が関や永田町を回り、陳情して歩く。特に多額の補正予算が検討されている今年は、長年待ち望んでいた高速道路の早期開通を働きかけている。

自助努力するのが無駄になる仕組み

 「結局は国頼みをしないと地域経済は回りません」とこの市長は言う。とうてい財政的な自立など無理だというのだ。交付税に頼らない自治体が全国の4%に過ぎない実状を考えると、財政で見る限り「地方自治」とは著しくかけ離れた状況なのだ。豊かな半分の自治体が厳しい半分の自治体を賄っているというのなら「再配分」と言えるが、圧倒的多数の自治体が国から降ってくる交付金に「頼っている」のである。自立を促しているはずの地方交付税制度が、逆に自立を妨げているのだ。

 地方自治体の「自立」を促進するのならば、自治体が自らの地域から上がる税収でどうやってやり繰りするかを考えることから始まるべきだろう。税収をどうやって増やすかを考え、一方で支出をどう効率化して抑えるか、実行していくことが不可欠だ。ところが自助努力で財政を建て直し、仮に黒字になった場合、交付税が打ち切られることになってしまう。努力するのが無駄になる仕組みなのだ。

 首都圏に近い観光資源が豊富な自治体ではかつて、首都圏から富裕層の移住を働きかけたことがある、という。首長自らが人脈をたどって別荘を誘致、住民登録してもらうことで税収を増やした。結果、税収を増やすことに成功したのだが、翌年の交付税が減額されてしまう。「やっただけ無駄だと思った」と振り返る。

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