改革の試金石となる農協改革

 改革姿勢を貫けるかどうかを占う試金石は農協改革だろう。抜擢された斎藤農水相の手腕が試される。全国農業協同組合中央会(JA全中)の会長選挙で、これまで改革路線を取ってきた奥野長衛会長が後継として支持した須藤正敏・JA東京中央会会長が敗北、JA和歌山中央会会長の中家徹氏が圧勝したのだ。これまでの農協改革路線の転換が迫られることになりかねない。

 もう1つが「働き方改革」に絡む労働基準法の改正。秋の臨時国会で与野党激突の法案になる可能性が高い。安倍内閣が閣議決定して国会に提出したものの2年以上にわたって審議さえされていない「高度プロフェッショナル制度」の導入が実現できるかが焦点だ。高度プロフェッショナル制度は、年収1075万円以上の社員に限って、残業代や労働時間規制から除外する仕組みだ。1075万円以上の年収がある社員は全体の1%未満だが、共産党や民進党、労働組合などは、「残業代ゼロ法案」「過労死促進法案」などと批判している。

「働き方改革」に絡む法改正で、与野党激突へ

 加藤氏が働き方改革担当相として3月末にまとめた「働き方改革実行計画」では、残業時間の上限規制を導入する一方で、高度プロフェッショナル制度についても早期に実現を目指すとしている。残業時間に上限を法律で定めることは、労働側にとっては画期的な「成果」で、何としても法律改正を早期に行いたいもの。連合は政府との間でいったん高度プロフェッショナル制度を条件付きで受け入れる姿勢を見せたが、傘下の労働組合の反発にあって撤回している。

 今後、内閣は、上限規制と高度プロフェッショナル制度の導入を一本化した労働基準法改正案を国会に提出することになるとみられるが、民進党などとの駆け引きが激しさを増しそうだ。安倍内閣の支持率が回復しないようだと、民進党は「残業代ゼロ法案」という批判を再び展開。安倍内閣を追い込むことも想定される。

 安倍内閣としては「経済最優先」で、国民に分かりやすい成果を示すことで、支持率の回復につなげたいところだが、これまでの「安倍一強」の政治情勢が大きく変わった中で、それがうまくいくかどうか。

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