「経済最優先」を示す布陣

 では、果たして、今回の支持率の急落局面でも、「経済最優先」は“復活の呪文”になるのだろうか。その行方を占う第一歩が内閣改造だった。「経済最優先」を示す布陣が敷けるかどうかが焦点だった。

 焦点の経済閣僚は、アベノミクスの司令塔とも言える経財再生相に茂木敏充・政務調査会長を据えた。当初、経済再生相として過去に実績を持つ甘利明氏の「復活」も噂されたが、政策通の茂木氏で落ち着いた。経済産業相は世耕弘成氏が留任、「働き方改革」で労働基準法の改正が控える厚生労働相には加藤勝信・働き方改革担当相を横滑りさせた。農協改革などが控える農林水産相には斎藤健・農水副大臣を抜擢した。副総理兼財務相の麻生太郎氏、官房長官の菅義偉氏ら、留任が4閣僚にとどまる大幅改造にもかかわらず、経済分野は「手堅い」布陣で固めたと言える。

「派閥均衡」色が強く、首相の「弱体化」を露呈

 もっとも、全体としては党内各派閥に配慮した「派閥均衡」色の強い布陣になった。留任とみられた岸田文雄外相が閣外に出て、党政務調査会長に就くなど、派閥や本人の意向に配慮した人事が目立ち、安倍首相の「弱体化」が否応なく表れた格好になった。

 問題は、今後、「改革色」を打ち出し続けられるかどうか。アベノミクスの1本目の矢である大幅な金融緩和姿勢は継続、2本目の矢である機動的な財政出動についても、公共工事の拡大などが進む可能性がある。一方で、3本目の矢である成長戦略は息切れが懸念される。

 特に、成長戦略の柱を規制改革とし、岩盤規制に穴を開けるドリルになるとしてきた安倍首相にとって、国家戦略特区での加計学園の獣医学部新設が問題になったことは痛手。民進党が国家戦略特区の仕組み自体に批判の矛先を向けていることもあり、今後、特区申請に手を挙げる自治体や事業者が激減することも懸念されている。

 特区は、政治のリーダーシップによって、旧来の担当官庁の規制を突破する仕組みだが、加計学園問題を機に、首相も特区での改革指示が出しにくい環境になりつつある。

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