第一生命保険は286社で会社側提案に反対

 例えば、第一生命保険は総会前の今年5月に、「議決権行使の考え方」を明示している。議決権行使に当たっては、「コーポレートガバナンス」と「資本効率・業績」、「株主還元」について重視するとし、それぞれの議案についての「議決権行使基準」を掲げた。「取締役選任」については、「業績が不振な状況が長く継続し、配当を行うことが長期的にも困難である場合には、経営トップの交代を含む抜本的な経営見直しを求める」としており、“社長解任”に動くこともあり得ると明確に述べている。

 こうした基準に基づいた議決権行使は、実際に行われている。

 第一生命が昨年公表した「2015年度の議決権行使結果」によると、同社が議決権行使した2247社の会社側提案議案8799件のうち、286社の313議案に反対したことが分かった。

 反対した具体的な内容として「業績の著しい低迷が長期に亘って継続しており、回復が見込めない場合の取締役選任(経営トップの再任)」や「長期在任監査役(12年超)の選任」などとしており、会社側の人事案に反対したケースがあることを明らかにした。また、「内部留保の水準が高いにもかかわらず配当性向が著しく低い場合の剰余金処分」や「監査役に対する退職慰労金の贈呈」、「監査役に対するストックオプションの付与」などにも反対したとしている。さらに「金員交付の可能性のある買収防衛策の導入・更新」にも反対したという。買収防衛策の導入に機関投資家が反対するのは一つの流れになっている。

 住友生命保険も議決権行使についての集計を公表している。2015年度は議決権行使した2042社のうち会社側提案に1件以上反対した会社は139にのぼり、2社で棄権したことを明らかにしている。

 反対した議案は取締役選任で45議案にのぼっている。取締役会への出席率が低かった社外取締役の再任に反対しているケースなどがあるという。また、退職慰労金の支給も71議案で反対した。

 144兆円という巨額の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、運用を受託する金融機関を通じて、スチュワードシップ・コードに則った議決権行使に動き出している。GPIFは日本株を33兆円以上保有、東証一部の時価総額の6%近くに相当する規模になっている。多くの会社で実質的に筆頭株主になっており、GPIFの議決の行方は、企業経営に大きな影響を与える。

 2016年4月から2017年3月までに開かれた株主総会での、国内株式運用受託機関による議決権行使の状況をGPIFが開示している。それによると、会社提案の議案20万1886件のうち、8%に当たる1万6110件で「反対」票を投じている。買収防衛策の導入や退任役員への退職慰労金の贈呈に関する議案では50%以上で反対票を投じている。