豪雨災害への支援にもふるさと納税が活躍

ふるさと納税サイトはたくさんできていますが、最大の「ふるさとチョイス」から外されると影響は大きいでしょうね。

須永:首長さんとのコミュニケーションを続けて、ふるさと納税をどう活用するべきか、意見交換していきたいと思います。

総務省は地域通貨のようなものは返礼品としては好ましくないとしていますが、先ほどの地域循環を考えると、むしろその地域でしか使えない地域通貨のようなものを返礼品とするのは悪くないのではないですか。

須永:私たちも総務省とは考え方が違います。地域経済に寄与して転売できないようなものであれば、むしろ好ましい。ふるさとチョイスでは「電子感謝券」という仕組みを提唱しています。埼玉県深谷市が導入し、道の駅や市内の契約店舗で使えます。一種の地域通貨ですね。

GCFのように、問題解決のために人々に呼びかけて共感してもらい、ふるさと納税で応援してもらう仕組みは、広がっていますか。

須永:プロジェクトは300を超えています。ふるさと納税を使って起業家を支援するプロジェクトも始まりました。愛知県碧南市の「宇宙機開発プロジェクト」というのもあります。碧南市は自動車部品などの工場が集積している地域ですが、一方でガソリン自動車の時代が終わるのではないかという猛烈な危機感があります。ふるさとの技術を継承し、それを磨いて宇宙を飛ぶ飛行機を開発しようと本気で考えている小規模な企業を応援しようというユニークなもので、1億円を目標にしています。

西日本各地で豪雨による災害が発生しました。被災地への支援でふるさと納税も活用されていますね。

須永:7月の豪雨災害の寄付は、被災した当該自治体向けと代理自治体向けを合わせて8億円(7月19日時点)を超えました。また、新しい仕組みとして「被災地支援パートナーシップ」という取り組みを始めました。パートナーシップに参加した自治体が集めたふるさと納税額の3%を被災自治体に届ける仕組みです。できるだけ早期に被災自治体に寄付金を届けることができます。災害の初期段階では、自治体の判断で自由に使える資金が非常に重宝がられます。

日本には寄付文化がないとしばしば言われます。トラストバンクを立ち上げた時、ふるさと納税がこんなに大きくなると思いましたか。

須永:初めは思いませんでしたが、途中からこれはすごいことになると感じました。ふるさと納税は確かに、返礼品による「お得感」もあって一気に広がりましたが、それをきっかけに寄付をしたり、地域の問題解決にできる範囲で協力しようというムードが広がったのではないでしょうか。地域のプロジェクトに共感した資金が集まり、地域で循環する経済が出来上がっていくこと。自立した経済圏が地域に出来上がっていくことが重要だと思います。