地域経済に貢献する返礼品が不可欠

確かにふるさと納税の仕組みを使って地域の問題解決をしようという動きも広がっています。東京都文京区が昨年始めた貧困家庭に食事を届ける「子ども宅食」プロジェクトには、あっという間に目標額が集まりました。

須永:「ふるさとチョイス」ではガバメントクラウドファンディング(GCF)と名付けて、自治体が抱える地域課題をふるさと納税の仕組みを使って解決する手法を提唱しています。災害支援にもふるさと納税が使われるようになっています。こうしたGCFなどの寄付層はこれまでのふるさと納税の寄付層とダブっていません。ふるさと納税全体は成熟期に入るにしても、こうしたGCFや災害援助の分野はまだまだ成長していくと思います。

「お得感」を前面に打ち出して資金集めをしている自治体についてはどうお考えになりますか。

須永:ふるさと納税にどういった視点で取り組むか、私たちも多くの首長さんとお話をするのですが、折り合わないことも多いです。多くの自治体の首長さんや担当者は、今のふるさと納税の仕組みがいつまで続くか分からないと漠然と感じています。

 総務省が返礼品の納税額に対する比率を3割以下にするよう指導していますが、これに従って引き下げた自治体は、ふるさと納税の仕組みが続いて欲しいから従っているのです。こうした自治体が99%です。ごく一部の自治体が、いつまで続くか分からないから、今のうちにできるだけ多額の納税を集めてしまおう、という考えなのです。

須永さんは、ふるさと納税の返礼品がどういう基準で決められるべきだとお考えですか。

須永:それが地域経済のためになっているのかを考えることが重要だと思います。ふるさと納税で返礼品を地域から自治体が買い上げることで、地場産業の発展に結びつき、地域の雇用を生み出す。地域の経済循環のためにどう役立たせるか、ですね。ふるさと納税はあくまでツールです。

 やり方を間違えると、バケツの穴から大都市圏に資金が還流してしまう。例えば米アップルのiPadを返礼品とした場合、数%は地域に残るかもしれませんが、9割以上は米国に資金が流れてしまうことになります。

ふるさと納税の仕組みは、自治体の創意工夫で納税を集めるという自主性を重んじているところに意味があるように思います。総務省がこと細かに規制するのもどうかと思います。

須永:総務省も規制はやりたくないと思っているのではないでしょうか。私も規制はできるだけない方が良いと思っています。「ふるさとチョイス」には掲載基準というのがあって、換金性の高いものや地場性の低いものは返礼品リストから外すことにしています。現状で40~50自治体のそれぞれ数品目という程度です。

 ただ、今後はどうみてもふるさと納税の趣旨に反するような問題自治体については、その自治体の掲載自体を取りやめることもあるかもしれません。

次ページ 豪雨災害への支援にもふるさと納税が活躍