そういう意味では、ドライバーの人手不足や過重労働が深刻な社会問題になっているトラック運送などで、真っ先に新しい動きが出てきそうだ。実際、トラックを高速道路で無人で隊列走行させる構想が動いている。

 今回の未来投資戦略の中でも、「早ければ2022年に商業化することを目指し、2020年に新東名高速道路での後続無人での隊列走行を実現する」という工程を明記している。そのうえで、 2017年度中に後続車にも人が乗るシステムの公道実証を開始、2018年度からは後続車無人システムの公道実証を始めるとしている。

 さらに、「無人自動走行による移動サービスを2020年に実現する」としており、今年度から全国10カ所以上で公道実証を実施するという。

 また、ドローンを使った荷物配送についても、2018年に山間部で実施、2020年代には都市での荷物配送を本格化させたいとしている。

 もちろん、いくら政府が旗を振っても、企業がやる気にならなければ新産業へのシフトや新技術・新サービスへの投資は進まない。そこで政府が考えたのが、コーポレートガバナンスの強化。安倍内閣がアベノミクスのひとつの柱として取り続けてきた、企業に「稼ぐ力」を取り戻させるために経営者にプレッシャーをかける、というやり方だ。

相談役・顧問についての情報開示を求める

 今回の未来投資戦略では「コーポレートガバナンス改革を形式から実質へ」と進めることで「稼ぐ力を強化する」としている。

 政府の問題意識は、「取締役会において、将来の経営戦略についての十分な議論がなされていない」というもの。つまり将来の成長分野への積極的な投資や、不採算分野からの撤退がきちんと行われていないことが日本企業の低収益に結び付いているというのだ。AIやビッグデータを活用する新事業に果敢に挑む経営に変えていくには、コーポレートガバナンスを形式だけでなく実質的に機能させていくことが不可欠だという。

 そのうえで、今回の柱として打ち出したのが、「相談役・顧問等についての情報開示制度」の創設。日本企業では、退任した社長やCEOがその後も相談役や顧問などとして企業に居座り、隠然たる力を持ち続けているケースがしばしばみられる。社長ら取締役会ではなく、何ら権限がないはずの元社長などの相談役が実質的に最終決定権限を握っているような例だ。そんな「老害」がガバナンスの機能を阻害しているというわけだ。

 こうした「相談役、顧問等について、氏名、役職・地位、業務内容等を開示する制度」を「本年夏頃を目途に創設し、来年初頭を目途に実施する」よう東京証券取引所に求めている。

 具体的な開示項目についてはまだ決まっていないが、これから本格化する株主総会で相談役や顧問の有無などについて質問が出ることが予想される。株主総会に詳しい弁護士によると、「多くの会社で相談役や顧問を廃止する動きがすでに出始めている」という。開示制度の導入が日本企業の行動様式を変え、新分野への投資を拡大させることになるのか、大いに注目される。