IoTやビッグデータ、AIの活用で劇的に社会のあり方を変えよう、というわけだが、総論には賛成でも個別具体的な話になると、規制や既得権が邪魔をするのが日本社会だ。そうした規制を突破する「目玉施策」として盛り込まれているのが、規制の「サンドボックス」制度の導入だ。

 規制改革会議で取り上げられたもので、新しい技術の実証実験を行えるように、規制を一時停止する制度。参加者や期間を限定することにより試行錯誤を許容する。例えば、自動走行車両の実証実験では公道を走行してデータを集積することが不可欠だが、現状の道路交通法などではそうした実験は想定していない。

 未来投資戦略では、「世界中で予測困難なスピードと経路で進化する中、社会を巻き込んで試行錯誤をしていくプロセスが有効」だとしている。そのうえで、「完全なデータと証明がないと導入できない従来の硬直的一律の制度設計では世界に後れを取ってしまい、日本は先行企業の下請け化するかガラパゴス化するしかなくなってしまう」と訴えている。

AIが仕事を奪う? 未来投資戦略は“楽観的”

 新しい社会を目指して変革を進めようとする場合、壁となるのは規制だけではない。旧来型の産業を新しい形に作り変えて行く「新陳代謝」が不可欠だが、旧来型の産業で働く人が職を失いかねないという「労働」の問題に直面する。

 この点、今回の戦略は楽観的だ。

 「(AIやビッグデータの活用が必須となる)第4次産業革命は、生産性の抜本的改善を伴うことから失業問題を引き起こすおそれがある。しかしながら、日本は長期的に労働力人口が減少し続けることから、適切な人材投資と雇用シフトが進めば、他の先進国のような社会的摩擦を回避できる」

 つまり、人口減少で働き手が今後減っていく日本は、他の先進国のように、変革に伴う失業を生まずに、うまく労働力のシフトが進んでいく可能性があるとしているのだ。また、未来投資戦略ではこうも指摘する。

 「日本は世界に先駆けて、生産年齢人口の減少、地域の高齢化、エネルギー・環境問題といった社会課題に直面している。これは第4次産業革命による新たなモノ・サービスに対して、大きな潜在需要があることを意味する」

 つまり、少子高齢化などの課題を抱える日本の方が、新しい産業やサービスを生み出していく余地が大きいとしているのだ。