「働き方改革」を後押し

 実際に規制を行っているのは各省庁だ。推進会議がいくら改革を訴えても、規制官庁が動かなければ、規制は変わらない。各省庁に改革を求め続ける「政治力」が不可欠だとしているのだ。

 そのうえで、推進会議は「重点的フォローアップ」項目を掲げている。次の項目だ。

 (農業WG)
 ・農業協同組合改革の確実な実施
 ・牛乳・乳製品の生産・流通等に関する規制改革
 ・生産資材価格形成の見直し、流通・加工の業界構造の確立

 (人材WG)
 ・労使双方が納得する雇用終了の在り方

 (医療・介護・保育WG)
 ・診療報酬の審査の効率化と統一性の確保、など

 (投資等WG)
 ・通訳案内士制度の見直し

 (本会議)
 ・民泊サービスにおける規制改革
 ・地方における規制改革
 ・地方版規制改革会議

 政治が関心を持ち続けている間は官僚は改革姿勢を取るが、世の中の関心が薄れると元の木阿弥になりかねない。推進会議としても改革の進捗状況をチェックし続ける、として改革を求めているわけだ。

 今回の答申についてメディアからは「新味に乏しく」「小粒の印象が目立つ」(日本経済新聞)といった指摘もある。確かに抵抗勢力と激突するような「大玉」は少ないが、それぞれの分野で着実に改革を進める項目が含まれている。特に「働き方改革」を後押しする項目が目に付く。

 例えば、①「転職先がより見つけやすくなる仕組みづくり」②「転職して不利にならない仕組みづくり」③「安心して転職できる仕組みづくり」――といった項目がそれ。人手不足が深刻化する中で、人材を流動化して、人材余剰の産業から人手不足の産業への雇用をシフトしようという狙いがみえる。そのための規制改革を示しているのだ。

 具体的には①の「転職先がより見つけやすくなる仕組み」として、「ジョブ型正社員の雇用ルールの確立」を掲げた。また、②の「転職して不利にならない仕組み」としては、有給休暇の付与日数が20日なるまでの継続勤務期間を可能な限り短縮することなどを求めている。

 さらに、③の「安心して転職できる仕組み」としては、「使用者が基本的な労働法の知識を十分に得るための方策について、幅広く検討を行い、必要な措置を講ずる」としている。ブラック企業と言われる過酷な労働条件を課している企業の多くでは、経営者自身が労働法の知識が乏しいケースが少なくない。それを改善するための方法を検討しろと言っているわけだ。これらの項目は、いずれも今年度内に検討を開始して結論を得るよう求めている。