3月末時点の国の借金は減少、1049兆円
増え続けてきた「国の借金」がついに減少に転じた。国債と借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」の今年3月末の残高を、財務省が5月10日に発表したが、年度末としては2008年度以来7年ぶりの減少となった。
3月末の「国の借金」は1049兆3661億円。1年前に比べて3兆9911億円減少した。この20年間では、2008年度に2兆7426億円減って以来の減少である。
もちろん、社会保障費の増加が止まったわけではない。好調な企業収益に支えられて法人税などの税収が大きく増えた結果、短期の資金繰りのために発行する政府短期証券などが大きく減ったことが大きい。アベノミクスによる経済の底入れが、国の財政状況を改善している。
例年ならば、財務省の意向を受けて「借金が増えて大変だ」と大騒ぎするメディアも今回は静かだ。NHKは「国の借金1049兆円余り 厳しい財政状況続く」という見出しを立て、7年ぶりの減少であることは後回しにしていた。だが、さすがに新聞各社は「『国の借金』7年ぶり減少 15年度末1049兆円」(日本経済新聞)、「『国の借金』、1049兆円 7年ぶり減少」(読売新聞)と、減少となったことを見出しにとっていた。
昨年のこの時期、新聞紙上には、15年度末の見込みとして1167兆円という数字が躍っていた。国の借金の増加が今後も続くという財務省の試算を使い、危機感を煽るかのような記事にしていたのだ。
財務省は昨年11月になっても、この1167兆円という見通し数字を発表などで使っていた。今年2月になって、見込み数字を1087兆円に引き下げたが、あくまで前年の1053兆円は上回って過去最高になるという点にこだわっていたのだ。

ところが、ふたを開けてみれば3月末の残高は1049兆円。6か月前の見込み数字と比べれば118兆円以上も少なく、3カ月前の見込み数字も40兆円近く下回った。118兆円と言えば、一般会計予算の1年分以上である。
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