2017年末の個人金融資産は1880兆円

 日本銀行が公表する資金循環統計によると、2017年末の個人金融資産(家計部門の金融資産残高)は1880兆円と1年間で3.9%増え、またしても過去最高を更新した。背景には株価が上昇したことで、評価額が押し上げられたこともあるが、なお「現金・預金」も増え続けている。

 個人が持つ1880兆円のうち最大は「現金・預金」の961兆円で、全体の51.1%を占める。次いで多いのが「保険・年金・定期保証」の520兆円だが、多くの人たちはこれを「資産」とは思っていないだろう。

 焦点の株式は211兆円。全体の11.2%である。これに投資信託の109兆円(全体の5.8%)を加えても、全体の17%である。米国では株式・投資信託の割合は3割とされているから、長年言われてきた「米国の半分」という状況はほぼ変わっていない。ちなみに米国で「現金・預金」は15%程度だ。まだまだ日本は現金や預金といった「貯蓄」への信仰が強く、株式や投資信託といった「投資」には腰が引けている。

 それでも金融資産の中の株式は着実に増えてきた。統計では2016年の9月末から6四半期連続で増加している。投資信託も2016年12月末から5四半期増加が続いている。政府は「少額投資非課税制度(NISA)」の導入・普及に力を入れ、投資を後押ししているが、同時に「現金・預金」も増え続けており、預金から株式へのシフトは期待されるほどには増えていないのだ。

 株式や投資信託の割合が劇的に増えてこないのは、こうした金融資産に対する意識の問題がありそうだ。株式や投信を買うのは「資産を殖やすため」という声が多い。もちろん貯蓄にしても投資にしても「増える」ことを期待しているのは間違いないが、株式や投信はより「大きく殖やす」ための手段と思われている。

 投信の109兆円というのは過去最大の残高だが、人気が高いのは海外の不動産投資信託(REIT)や、高利回りの債券で運用する投信など。圧倒的にリターンの大きいものへの投資が多い。もちろん背景には低金利によって貯蓄が金利を生まない分、投信で儲けようということがあるのだが、ともすると株式や投信への投資は「博打」気分が抜けないのだ。

 本来、株式や投信は長期にわたって資産を増やすための投資手段である。経済成長と同等かそれ以上のリターンを長期的に見込めるのが株式であるというのが世界の投資家の常識と言える。

 日本株を買っている海外投資家も、中にはヘッジファンドのような短期の利益を狙う投資家もいるが、多くは年金基金など長期の投資を行っている投資家だ。安倍内閣の発足で2013年には15兆円の日本株が海外投資家によって買い越されたが、その多くは保有され続けている。

 海外投資家が、日本のコーポレートガバナンス改革に大きな関心を寄せるのも、企業価値を高めて長期的に株価水準を上げていくことに期待しているからだ。短期の売買で値ざやを稼ぐことよりも、長期に保有し続ける方がプラスが大きい市場に、日本の株式市場つまり日本企業が変わっていくことを求めているのだ。

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