日本の投資家は今の株価をどう評価するのか。

 北朝鮮情勢や米国の対イラン政策の変更など国際政治の情勢は大きく変化しているが、株価は奇妙な安定を見せている。日経平均株価は3月26日の2万347円49銭を底に戻り歩調となり、2万2000円台に戻している。

 この株価の「転換」の背景には何があったのだろう。3月末といえば、森友学園問題を巡る財務省の公文書改ざんが明るみに出て、元理財局長の佐川宣寿氏が国会で証人喚問されていた時期。安倍晋三内閣の支持率も大きく低下し、政権の先行きに不安が広がっていたタイミングである。

 にもかかわらず株価が反転したのは、「海外投資家」が買いに転じたためだ。日本取引所グループが公表している投資主体別売買動向の週次データ(2市場1・2部合計)によると、年初から売り越しを続けてきた海外投資家が3月26日の週に買い越しに転じたのだ。

 株価水準を見れば、決して悪くない相場つきの中で、日本の個人投資家は逆に売り越しに転じている。年明けから買い越しが目立ち、いよいよ個人の株式購入が広がるかと思われた矢先だったが、政局の動揺をきっかけに個人が利益の出ている株式を「利食った」ということだろう。

 このデータを見ると、個人投資家の動きは株価に敏感だ。海外投資家が売って株価が下がると買いに出て、海外投資家が買い始めると今度は逆に売って利益を確定させる。長期に保有するというよりも、短期間で売買して利益を稼いでいる。バブル崩壊以降、長期にわたって株価が下落し、「塩漬け」してきた苦い経験を持つ投資家が少なくないためか。長期に安定して保有しようというムードになかなかならない。アベノミクスによる株価上昇が5年続いても、なお日本の株式に不信感があるということだろう。

 政府は長年、「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズを掲げ、個人投資家の資金を株式に誘導しようとしてきた。だが、なかなかその成果が現れない。