諮問会議では、各地域から上がって来た要望が議論され、「規制改革メニュー」として認定されていく。特定の特区に特定の規制緩和事項だけが適用されるのではなく、特区として認定されると、規制改革メニューすべてを活用することができるようになる。後は、首長と新しい事業をやろうとする事業者の知恵次第なのだ。

 「改革メニュー」は多岐にわたる。都市開発では、都市計画の認可手続きをワンストップ化し、容積率の緩和などにも踏み込んだ。都市部での大規模開発を迅速化させるのが狙いだ。また、先進医療を提供する病院を指定、保険外の先進医療と保険対象の医療を同時に行う「混合診療」を大幅に緩和した。一般には混合診療を行うとすべてが保険適用から外れ患者の負担が極端に重くなるという問題があった。安倍首相は「保険を併用することで患者さんの費用負担は3分の1になった」と胸を張った。

変化の兆しが出始めているのは確かだが…

 千葉県成田市では国際医療福祉大学に医学部の新設が認められた。2017年4月に開設されるが、日本国内で本格的に医学部が新設されるのは38年ぶりのことである。成田空港に近い利便性を生かし、国際水準の医師の育成や、外国人患者を受け入れる「医療ツーリズム」の拡大を目指す。

 農業分野でも改革が進んでいる。農地は農地以外への転用が厳しく制限されてきたが、農地の一角にレストランを建てる「農家レストラン」が可能になった。3月には新潟市で初の農家レストランが開店している。

 旅館業法で設置が義務付けられているフロントの代わりに、監視カメラを設置した「古民家旅館」も兵庫県養父市に生まれた。養父市では、農業委員会が握っていた農地の賃貸や売買の許認可権限を、市長に移譲する改革も行われた。

 保育士不足を解消する一助として、特区内で「地域限定保育士」の試験を行うことも認めた。神奈川県や大阪府、沖縄県などで行われ、それまで年1回だった保育士試験の受験機会が2回になった。それによって「昨年度の全国合格者の1割以上、約2400名が合格した」と成果を強調した。

 確かに、特区が「突破口」になって変化の兆しが出始めているのは確かだ。だが、アベノミクスが当初掲げた「3本目の矢」である規制改革による成長が華々しく実現しているかといえば、必ずしもそうとは言えない。

 実は、特区諮問会議では、民間議員5人の連名による「この2年間に対する評価」という文書が提出されている。そこでは、「171の具体的な事業が目に見える形で実現しつつある」としたうえで、「養父市や東京圏を中心に、各事業がスピーディに進捗していると、総じて評価できる」としているもののの、以下のような“限定意見”も付けた。

 「しかしながら他方で、下表のとおり、特に沖縄県を始め、各特区において本来活用されるべきメニューが未活用のままとなっている状況も散見される。本諮問会議として各自治体に対し、これらの速やかな活用を、引き続き促していくべきである」

 つまり、せっかく「規制改革メニュー」をお膳立てしているのに、特区に指定された地域がそれを十分に使っていない、というのだ。そのうえで、各自治体ごとに「未活用」の事項が表の形で示された。