霞が関が「ふるさと納税」を批判する理由

 こうした批判の多くは、霞が関の記者クラブに所属している記者や、新聞社の論説委員によって書かれているものが多い。学者もよくみると、総務省や財務省など霞が関官僚のOBという例が少なくない。雑誌などへの働きかけも多い。どうも霞が関が「アンチ・ふるさと納税」キャンペーンを仕掛けているようなのだ。

 これまでも総務省は、返礼品に「不動産」を提示したり、家電や貴金属など「資産性の高いもの」は返礼品にしないよう求めてきた。最近は家具や時計、カメラといったものまでアウトだとしている。メディアによる世の中の高額返礼品批判を演出したうえで、その声に「応える」形をとって、高市早苗総務相が満を持して、今回、返礼品について「上限3割」を打ち出したのだ。

 霞が関が「ふるさと納税」を批判する理由は明白だ。地方自治体には国から「地方交付税交付金」が支給される。国税の形で国が集めた税金を地方に再分配する制度だ。その分配権は総務省が握って来た。自治と言いながら、地方自治体は総務省に首根っこを押さえられ続けてきたのだ。

「ふるさと納税受入額」の急増に危機感

 そこに風穴をあけつつあるのが「ふるさと納税」だ。地方自治体の創意工夫によって、納税者が自主的に納税先を決める制度が生まれたわけだ。当初は微々たる金額だったが、その急増ぶりは著しい。

 総務省の調査によると、「ふるさと納税受入額」は年々増加。2013年度は145億円だったものが、2014年度には388億円へと倍以上に増えた、それが2015年度には1652億円になった。2016年度の統計はまだ出ていないが、さらに大きく増える見通しだ。この急増によって、アンチ・キャンペーンが始まったのである。

 1652億円と聞くと大きな金額のように見えるが、実際はそうではない。地方税収の総額は2016年度予算で38兆7742億円。わずか0.42%である。それに総務省が目くじらを立てるのは、自分たちの権益が侵されることへの恐怖感があるのだろう。

返礼品の調達は自治体にとって無駄ではない

 果たして、ふるさと納税に返礼品を出すことは「問題」なのだろうか。

 2015年度のふるさと納税受け入れ額が全国トップだった宮崎県都城市は、42億3123万円を集めたが、返礼品としては地元の牛肉や焼酎、乳製品が人気を集めた。返礼品の調達額は受け入れ額の7割相当だという。全国平均は4割強とされるので、「もっともお得」な納税先だということもできる。納税額の7割分が返礼品として戻ってくるからだ。

 都城市にとっては、それでも3割の13億円近くが手元に残るから、財政にとってありがたい事このうえない。自由に使える財源を確保するのは地方の自治体にとって至難の業だからだ。

 もちろん7割の返礼品調達も市にとっては無駄ではない。ふるさと納税がなくても、地域の農業振興などに予算を割いている。ふるさと納税での税収は、それに置き換わっている格好になる。しかも、他地域の人たちから「選択」されることで、市が独自に決める補助金よりも、合理的に配分されている可能性がある。