スイスでは「マイナス金利」で不動産購入が活発化

 2月の住宅着工は7万2831戸と前年同月に比べて7.8%も増加。13年の数字も上回り、2月としては2009年以降で最多となったのである。今後もこの傾向が続くのかどうか。3月以降の統計の推移が注目される。

 今後の不動産価格や住宅着工に大きな影響を与えそうなのが、1月に日本銀行が導入を発表した「マイナス金利」である。市中銀行が日銀に「当座預金」を預ける場合、マイナス0.1%の金利を付けるというもの。仮に100億円預けると1000万円が「マイナス金利」として差し引かれることになる。

 市中銀行にとっては、資金を当座預金に置いておけば損をするだけなので、無理をしてでも貸し出しや投資に回すことになる。そうなれば世の中におカネが回るようになるというわけだ。日銀はこうした“追い出し効果”を狙っているのである。

 マイナス金利を巡ってはエコノミストの間で評判が良くない。金融機関の経営を圧迫し、むしろ貸し渋りや貸しはがしにつながりかねないという主張もある。

 マイナス金利はすでに欧州では導入されている政策だ。スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)は2015年1月から当座預金に0.25%のマイナス金利を課している。欧州域内でも最強の通貨であるスイスフランへの資金流入を抑える効果が出ているとSNBは分析している。日本でも円高を防ぐ効果が期待できるということになる。

 スイスでは為替への効果と共に起きたことがある。不動産価格の上昇だ。企業や個人が極めて低い利率で資金調達ができるようになったことから、住宅や商業地などの不動産購入が活発化したという。

 つまり、日銀が本気でマイナス金利政策を続ければ、不動産価格は上昇しそうなのだ。

 考えれば当然だろう。不動産会社は調達した資金で不動産物件を購入し、それを販売したり賃貸に回すことで利益を上げる。調達する資金のコストよりも高い利回りが稼げるならば、資金調達して不動産を購入することになる。

 住宅を購入しようとしている個人にとっても話は同じ。住宅ローンの金利が仮にゼロになれば、元本返済だけすれば済むわけで、ぐんとマイホームが近づく。マイナス金利政策が効いて来れば、不動産に火が付く可能性は十分にあるわけだ。

 問題は日銀が本気でマイナス金利政策を続けるか。日銀に預けられている当座預金は240兆円あまり。このうち30兆円は無利子で、210兆円に0.1%の金利が付いている。日銀が導入したのは、当座預金をこれ以上増やした場合、その部分についてだけ0.1%のマイナス金利とすることにしたのだ。つまり、従来の210兆円は手付かずのままなのだ。

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