「出稼ぎ」だけでは人口減を補えない

 そんな中で、ようやく、日本も「移民政策」を真剣に考えるべきだ、という声が政界の中でも出始めている。

 農業協同組合新聞電子版が3月29日に竹下亘・自民党総務会長のインタビューを掲載している。その中で竹下氏は農業の現場について、こんな発言をしている。

 「労働力問題が大きなネックになっています。東北などでは外国人労働者が多く入っています。農業の将来を考えると、移民政策も含めて国会でも議論し、国民のコンセンサスを確立する必要があります。今は実習生として受け入れていますが、このままでいいのか。放置しておくと不法就労が増えます。外国人ゼロではもう農業はやっていけません」

 自民党の幹部から、「移民政策も含めて」議論すべきだという声があがった意味は大きい。すでに安倍首相は2月の経済財政諮問会議で外国人労働者の受け入れ拡大に向けて検討するよう関係閣僚に指示している。「専門的・技術的分野」の在留資格を拡大して外国人を受けいれる方向だ。現状では、「教授」や「技能」など18の業種に限られているものを、農業や建設なども加えていくとみられる。

 ただ一方で、「移民」につながらないよう、在留期間を制限して家族の帯同も基本的に認めない、という報道もなされている。だが、それでは、結局のところ「出稼ぎ」を増やすだけで、長期にわたる日本の人口減少を補う政策には程遠い。

 現在、菅義偉官房長官や上川陽子法務相を中心に関係省庁が加わった検討チームで議論している。6月に閣議決定される経済財政運営の「骨太の方針」に何らかの対応策が盛り込まれることになる。

 閣議決定に向けて、党内論議がどれだけ盛り上がるかが、焦点になる。これまでの「移民政策は取らない」という方針を堅持し、付け焼き刃の対策をとるのか、それとも、外国人の受け入れ策について抜本的に見直し、日本型の移民政策を打ち出していくのか。

 外国人技能実習生などを雇用している経営者や農業関係者の多くが口をそろえて言うのは、せっかく技能を身につけさせても3年で帰ってしまうのでは、何のために教えているか分からない、というものだ。つまり、日本人の仕事の補助的な役割ではなく、一人前の技術者、農業者として頼りにする存在に外国人がなっているということだ。そうした現実を踏まえて、できるだけ長期に日本に定住してもらい、日本社会に溶け込んでもらう、それを支える仕組み、政策づくりが不可欠だろう。