背景にあるのは「マイナス金利」

 地価上昇の背景にあるのは「マイナス金利」。2016年2月に日本銀行が導入したが、その後、住宅ローン金利が歴史的な低水準になるなど、その効果がじわじわと広がっている。

 金融界にはマイナス金利政策を批判する声が根強いものの、着実にその効果が表れていると言ってよさそうだ。新設住宅着工でも「貸家」の伸びが大きくなっており、低金利と地価の上昇を背景に、空き地に賃貸マンションを新築したり、老朽化したアパートを建て替える例が増えている。不動産投資が活発化しているのだ。

 日本銀行は昨年11月の政策委員会・金融政策決定会合で、マイナス金利政策を継続したうえで、長期金利をゼロ程度に誘導する方針を示した。さらにJ-REIT(不動産投資信託)の買い入れも引き続き行う方針を決めた。こうした政策によって不動産投資が後押しされることになりそうだ。

全国の商業地の平均地価は、リーマンショック前の8割

 もっとも、日本銀行はマイナス金利政策について本腰を入れているわけではない。市中銀行が日本銀行に持ち込んだ当座預金二百十兆円には今でも年利0.1%という、普通預金金利からみたらかなり高利の金利が付いている。この全部もしくは一部をゼロ金利にするだけでも、資金の追い出し効果はあるはずだが日銀は慎重だ。「マイナス金利政策を拡大すればバブルが起きる」(日銀幹部)というのである。

 もっとも、今回公表された公示地価でも、全国の商業地の平均地価は、リーマンショック前の2008年の8割の水準にとどまっている。まだまだ「不動産バブル」というほどの水準には達していない。

保有資産の価格上昇で、消費者の財布が緩む

 地価、とくに住宅地が上昇に転じてきたことは、デフレに苦しんできた日本経済にとって画期的なことといえる。住宅ローンを抱えている一方で、住んでいる家の地価下落が続いていれば、ローン返済ができなくなった時にローンだけが残るリスクが生じる。将来への不安から消費にもブレーキがかかる。

 逆に保有する住宅の価格が上昇すれば、家計が「含み益」を抱えることになり、前述のように転売が容易になるばかりでなく、いわゆる「資産効果」による消費増につながる期待も生じる。保有資産の価格が上昇することで、将来不安が薄れ、消費者の財布が緩むわけだ。

 資産効果だけではない。地価の上昇によって買い替えが進み、新設住宅着工が増えることで、消費の「実需」も大きく増える可能性がある。