
ついに地価の下落が止まった。国土交通省がこのほど発表した2017年1月1日時点の公示地価で、「全国の住宅地」が9年ぶりに上昇に転じた。上昇率は前年比0.022%とわずかだったが、それでも上昇に転じた意味は大きい。「全国平均の全用途」では0.4%プラスと2年連続での上昇となっており、「資産デフレ」からの脱却が鮮明になってきた。
2012年末に安倍晋三内閣が発足して以降、株価は底入れしていたが、全国平均の地価はジリジリと下落していた。大都市圏の商業地は早期に底入れしたが、地方都市の地価は下落が続いていた。
今回の公示地価では、「全国の商業地」は1.4%上昇した。上昇率は前年の0.9%から拡大しており、商業地の地価上昇が鮮明になった。札幌、仙台、広島、福岡の地方中核4市の上昇率が6.9%と、三大都市圏の3.3%を大きく上回ったのが目を引いた。観光などに訪れる訪日外国人の大幅な増加が、地方中核都市にも広がり、不足が目立つホテル建設などが相次いでいることが商業地上昇の背景にある。一方で、地方でも都市部以外の地価は下落が続いており、二極化が進んでいる。
新規の住宅着工戸数が増加へ
そんな中でも住宅地が全国平均で上昇に転じた意味は大きい。住宅価格が上昇に転じてきたことで、買い替えが容易になり、新規の住宅建設に結びつく。すでに大都市圏では中古マンションの価格上昇などをきっかけに、新築マンションの建設ブームが続いている。地価の下落が止まることで、戸建て住宅でも新規建設の増加が鮮明になりそうだ。
実際、新たに建設する住宅の着工戸数は増加に転じている。国土交通省が毎月発表している新設住宅着工戸数は、2016年7月以降、7カ月連続で前年同月比で増加。1月は7万6491戸と、前年同月比12.8%の大幅増だった。
新設住宅は、消費税増税前の2013年に駆け込み需要で大幅に増えた。2016年は春から、駆け込み需要に迫る建設ラッシュが続いていた。秋以降も腰折れしていないことから、住宅建設ブームが定着しつつあるとみてよさそうだ。
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