経済だけでなく「精神的リターン」が重要に

 そのためには、自分たちの地域の強みを生かした産業に磨きをかけ、そうした産業を再興するグランドデザインを作ることが不可欠だ。今、被災地の自治体の財政は、国からの資金で水ぶくれしている。これが本当に自分たちの地域の役に立つ事業なのか、疑問を感じながら歳出予算を組んでいる首長・議会も少なくない。国が主導する復興計画に唯々諾々と従っていて、本当に自分たちの町は再び賑わいを取り戻せるのか、そんな疑問の声を多く聞く。

 長い将来を考えれば、自分たちの地域で自立していける経済を作ることが必要だ。人口減少が進む中で、どうやって日本中から若者を集め、地域経済を動かすか。

 今、地方創生が花盛りだ。これにも国の予算が付いており、全国似たような事業計画が目白押しだ。本当に自分たちの魅力を磨くことよりも、国から補助金をもらうことが優先課題になっているように見える。

 本来は、国からお金がもらえるかどうかではなく、本当に自分たちの地域を活性化させるためのアイデアを磨き、自分たちで実行に移していくことが大事だ。つまり、「自分たちの地域の魅力はこれだ」という価値付けと、「それを将来に向けてこう変えていく」というビジョンを示せば、資金は必ずしも国や県の補助金に頼らずとも、全国から集めることが可能だ。

 クラウドファンディングで多額の資金が集められるようになった現在、お金の出し手に響くのは「経済的リターン」の大きさというよりも、地域づくりに貢献できるという「精神的リターン」の大きさが重要になっているように見える。いかに「共感」を呼ぶビジョンなり計画を作れるかがポイントになっているのだ。

 東北地方には全国に発信できていない「宝」がまだまだたくさんある。そうした宝に磨きをかけることで十分に産業化できるものが一杯ある。東北の人たちにそう言うと、決まって「東北人は口下手で、宣伝しないから」という返事が返ってくる。そのためにも「よそ者」を積極的に招き入れることだろう。「よそ者」だからこそ、地域の宝の価値に気づくということもある。

 震災から7年。「復旧」の段階はもはや終わりつつある。いかに本当の意味での経済復興を進めるか。むしろこれからが本番のように思う。



3月11日で東日本大震災から7年を迎えます。被災地の復興が進む一方、関心や支援の熱が冷めたという話もあちこちから聞こえてきます。記憶の風化が進みつつある今だからこそ、大震災の発生したあの時、そして被災地の今について、考えてみる必要があるのではないでしょうか。

(「3.11から7年…」記事一覧はこちらから)