東北地方の人手不足は、南関東より深刻

 ちなみに、2017年の地域別百貨店売上高は、東京が0.5%増だったのに対して、仙台は0.6%増と、全国的な景気の底入れとほぼ同じ動きになり始めているのかもしれないが、もはや東北の方が、消費が盛り上がっている、という状況ではなくなっている。

 その最大の要因は、復興関連の公共工事などは別として、通常の経済活動が停滞して、仕事が増えないからだろう。7年経った今も、かさ上げされた更地だけで、「町」が復興されていないところが東北の沿岸にはたくさんある。もともとあった会社が潰れたり、別の場所に移転するなど、経済活動が戻ってきていないのだ。

 これは総務省の労働力調査を見てもわかる。「東北」の雇用者数は震災前の2010年の376万人から2017年には392万人に4.3%増えた。一見、仕事が増えて経済活動が活発化しているように見える。だが、これに対して「南関東」は2010年の1651万人から2017年は1789万人と8.4%も伸びている。つまり、東北の雇用者数の伸び率は南関東の半分なのだ。ちなみに「南関東」は、埼玉、千葉、東京、神奈川である。

 アベノミクスが始まった2013年以降、全国的に雇用者数が伸びている。企業収益の回復によって企業が雇用を増やしているためだ。2018年1月の有効求人倍率は1.59倍で、バブル期を超え、高度経済成長期並みの人手不足状態が続いている。

 こうした全国的な人手不足が、被災地の復興の足を引っ張っている可能性もある。復興に向けた土木工事などはまだまだ仕事があるが、人手が足らないことから予算はあっても完成できていないケースが少なからず存在する。

 これは、地域別の有効求人倍率に裏付けられている。2018年1月のデータを見ると、東北の有効求人倍率は1.65倍。南関東の1.48倍を大きく上回る。東北の方が人手不足は深刻なのだ。

 多額の復興予算によって、土木工事や建設工事が東北地方で行われている。もちろん、これは壊れた堤防や地盤をもとに戻す「復旧」が第一の狙いだが、生活基盤が壊れた被災地に「仕事」を供給する意味合いもある。当初は全国から作業員が集まり、その仕事をこなしたが、今や全国的な人手不足で、簡単には労働力が集められなくなっている。

 公共事業を行えば、そこに労働力が集まり、その地域で消費をして、地域経済が回り始めるという地域版の「経済好循環」が当初数年間は機能したが、ここへ来て公共事業で経済を回すモデルに限界がきているように見える。

 最大のポイントは、経済を回すための「生活基盤」の拡大だろう。最も重要なのが「仕事」であることは間違いない。だが、「食べていければ良い」という理由だけで職業を選択する人は今の時代、大きく減っている。そこに「やりがい」があるか、東北地方でしかできない仕事があるのかが大きな選択肢になっているのではないか。逆に言えば、魅力的な仕事を、被災地を中心とする東北地方にどうやって「創造」していくかが重要になる。

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