ところが、蓮舫氏の姿勢に、党内の議員から反対の声が挙がった。電力総連出身の小林正夫参院議員ら電力系労働組合に近い議員を中心に、前倒しに反対する声が相次いだのだ。連合の神津里季生会長も「2030年代原発ゼロですら、相当にハードルが高い」として難色を示した。さらに神津氏は、2030年と数字だけ前倒ししても、その実現可能性が低いと国民に映れば、民進党にとっては大きなマイナスになると指摘した。野党感覚丸出しの言いっ放しでは、政権を託するに足る責任政党とは見られなくなってしまう、というわけだ。

 蓮舫氏は、連合傘下の電力総連や電機連合などを直接訪ねて、「30年ゼロ」について説明したが、結局理解は得られなかった。党内の異論を収拾することができず、党大会での表明は断念せざるを得なくなったわけだ。

「反原発」で民進党内が一本化されているわけではない

 民進党は「反原発」で党内が一本化されているわけではない。前述の通り、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という民主党時代の方針を引き継いでいるが、当時の民主党もこの方針決定に当たっては根強い反対があった。

 当時の野田佳彦内閣が上記の方針を打ち出した背景には、野田内閣が進めた原発再稼働への反発が予想以上に大きく、毎週金曜日に首相官邸前で行われる抗議活動が盛り上がったことが背景にある。「原発稼働ゼロ」を打ち出さざるを得なかったとはいえ、当時から党内の反発は強く、政権の座にあったにもかかわらず、結局、閣議決定できずじまいに終わっている。民進党になって方針を引き継いではいるものの、本気でそれを実行に移そうという考えで党内が一致しているわけではないのだ。

 蓮舫執行部が考えている選挙の争点としては、「脱原発」は安倍晋三内閣との政策的対抗軸になる可能性は十分にある。というのも、安倍内閣が原発に対する明確な方針を打ち出せずにいるからだ。

 政権交代以降に見直した2014年4月閣議決定の「第4次エネルギー基本計画」では、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けたものの、一方で、「省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り(原発依存度を)低減させる」としている。

方針が示されないまま「再稼働」へ

 実際、原子力規制委員会の安全確認を得たものは、順次、再稼働を認めるとしており、政権の意思ではなく、事業者の責任で再稼働を行うという立場を取り続けている。原発を推進するのか、脱原発に向かうのか、明確な方針を示さないまま、再稼働だけを進めているわけだ。