
「2030年原発ゼロ」表明を断念した民進党
民進党の蓮舫代表が3月12日の党大会で目指していた「2030年原発ゼロ」の方針の表明を断念した。党内からの反対や、支持母体である連合からの批判に抗し切れなくなったことが大きい。メディアからは「脱原発を求める世論よりも支持母体の連合を優先したことに対し、さっそく党内の脱原発派や共闘を組む野党から批判の声が上がった」(朝日新聞 3月1日付記事)と厳しい指摘がなされている。
民進党は前身の民主党政権末期に「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という方針を打ち出し、民進党もこの方針を引き継いでいる。もっとも、どうやって2030年代に原発ゼロを目指すのか、その具体的な方策は示していなかった。
蓮舫氏は昨年、代表選に立候補した際の公約で、「原子力エネルギー政策で工程表を明らかにする」ことを表明していた。
そんな蓮舫氏らの意向を受けた玄葉光一郎エネルギー環境調査会長が2月上旬、突然、原発ゼロの年限を「2030年代」ではなく、「2030年」に前倒しする方針を示した。反原発の姿勢を明確にして、脱原発の時期を前倒しすることで、次の総選挙の「争点」にしようとしたとみられている。
実現は困難との声が強く、「前倒し」を断念
「働き方改革」などでお株を奪われた民進党は、解散総選挙になった場合の自民党との「対抗軸」を打ち立てられていない。昨年の参議院議員選挙では、「憲法改正阻止」を対抗軸とし、「(改憲勢力に)3分の2は取らせない」という“土俵際”のラインを自ら設定したが、国民の多くには響かず、結局、3分の2の議席を許すことになった。では、次の総選挙では何を旗印に戦うのか。早急に民進党らしい政策の柱を掲げたいという焦りが執行部にはある。
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