目白押しの増税プランが負担率を押し上げる

 余談だが、実は、国民負担率が44.4%という過去最高を記録したことがある。2015年度だ。ところが政府がGDP(国内総生産)の計算方式を変更したため、国民所得が大きく増えることになった。これを受けて財務省は国民負担率の一覧表も過去に遡って修正した。2015年度は42.6%になったので、1.8ポイント分低く見えるようになった。

 アベノミクスで景気回復に期待がかかる。GDPが徐々に増えていくことは間違いないだろう。だが、現実には国民負担率は過去最高を更新し続けるに違いない。

 何せ、増税プランが目白押しなのだ。2019年度以降は所得増税と消費税率の10%への引き上げが決まっている。2018年度税制改正大綱では、給与所得控除の縮小によって年収850万円以上の給与所得者は増税となることが決まった。基礎控除が拡大されるため自営業やフリーランスは減税になるとしているが、トータルでは増税だ。さらに、出国税や森林環境税などの導入も決まった。

 いくらアベノミクスで国民所得が増えても、それを上回るペースで税金が増えていけば、実際に使えるおカネ、可処分所得はマイナスになってしまう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人観光客などが増え、消費が盛り上がると期待されているが、その「特需」の規模は不透明だ。増税によるマイナス効果を吸収できなければ、せっかく明るさが見え始めた日本経済に再び水がさされることになりかねない。

 日本のGDPの過半は消費によって生み出されている。安倍首相は2012年末の第2次安倍内閣発足以降、「経済の好循環」を訴えている。アベノミクスによって円高が是正され企業収益が大幅に改善されたが、それを従業員に積極的に配分することで、冷え込んだままになっている消費に火をつけようというわけだ。安倍首相は繰り返し経済界に賃上げを求めており、今年は「3%の賃上げ」を働きかけている。消費に火がつけば、再び企業収益にプラスとなり、循環が始まるわけだ。

 「経済の好循環」が回り始めるには、国民の可処分所得が増え、実際に消費にお金が回る必要がある。税負担や社会保険料負担を増やせば、国民の可処分所得はその分減ってしまうことになる。
 それだけに増税議論には「正確なデータ」が不可欠なはずだ。「まだまだ日本の税金は安いですよ」「社会保障負担も増えてきましたが、大したことはありません」という印象操作をベースに議論をしていれば、実態を見誤ることになりかねない。