国民負担率を小さく見せようという「意図」

 今年発表された年度推移のデータ一覧表を見ると、2016年度は42.8%、2017年度は42.7%、そして2018年度は42.5%となっている。この表をベースに記者は「2年連続減」と書いているのだが、ここに「罠」が仕掛けられている。

 欄外に細かい文字でこう書かれている(年号を西暦に修正)。

 「2016年度までは実績、2017年度は実績見込み、2018年度は見通しである」

 2017年度も2018年度も確定的な数字ではない、と言っているわけだ。その財務省の「推計」を基に記事を書くので、辻褄が合わなくなっている。つまり、毎年「見通し」がおかしいのだ。

 実績として確定した2016年度の国民負担率は6年連続で過去最高を更新した。2010年度は37.2%だったので、6年で5.6ポイントも上昇した。この国民負担率にそれぞれその年度の国民所得をかけて計算すると、何と33兆円も負担は増えているのだ。

 ではかつて、日本経済新聞は2016年度の「見通し」をどう記事にしていたか。 「16年度の国民負担率、7年ぶり低下」である。財務省は、負担は軽くなるというデータを毎年のように示しながら、「実績」となると過去最高を続けているわけだ。記者はまんまと財務省の「印象操作」にはまっているのである。これは日本経済新聞だけの問題ではなく、朝日新聞ほかの大手メディアは概ね「引っかかって」いる。

 今年の発表では2017年度は42.7%と、最高だった2016年度の42.8%に比べて0.1ポイント低下することになっている。2017年度は「実績見込み」だから大きくは狂わないだろうと多くの読者は思うに違いない。だが毎年、「実績」数字は、「実績見込み」を上回る結果になっている。昨年の発表で2016年度の「実績見込み」は42.5%だったが、蓋を開けてみると42.8%と0.3ポイントも上回っていたのだ。

 過去何年にもわたって発表されてきた「見通し」や「実績見込み」は、決まって「実績」よりも小さく見積もられてきた。明らかに、予想ベースを過小に公表して、国民負担率を小さく見せようという「意図」が働いている。それを知ってか知らずか大手メディアは、財務省の意図通りに「見通し」ベースで記事を書き続けているのだ。

 これこそ、霞が関による「情報操作」、「データ偽装」ではないか。本来、新聞が書くべきは、2016年度の国民負担率が42.8%と過去最高になった「事実」ではないのだろうか。役所の誘導に引っかかって、結果的に誤報を繰り返す、「官製誤報」が繰り返されている。野党も国民の給与が増えないと繰り返すならば、こうした増税論議の前提になる「データの不備」を追及すべきではないのか。

 財務省の発表を見て経済データを見慣れた記者ならば、「実績見込み」も「見通し」もかなり前提が「緩い」ことに気がつくはずだ。2017年度実績見込みの前提になっている国民所得は「402兆9000億円」。2016年度は391兆7000億円なので、2.9%増える「見込み」になっている。さらに2018年度は414兆1000億円という「見通し」で、これは前年度比2.8%の増加である。高い経済成長を前提にして、国民所得が増えるので、その分、負担は減りますと言っているわけだ。