国民負担率について、財務省は正しい「見通し」を示しているのか。

記者が「だまされる」いわく付きの発表

 国会では「裁量労働制」を巡って政府が提出したデータの不備が、野党や大手メディアに追及され、安倍晋三首相は今国会に提出する働き方改革関連法案から裁量労働制を削除せざるを得ないところまで追い込まれている。議論する前提のデータがインチキでは真っ当な政策決定が行えないという野党の主張は当然である。

 ところが、野党も大手メディアもまったく問題視しないデータ不備が存在する。日本はまだまだ税金も社会保険料も負担が軽いと主張するそのデータは、国民生活を直撃する「増税」を進めるための1つの論拠になっているのだから、裁量労働制に劣らない重要なデータと言える。にもかかわらず、毎年同じ「恣意的」とも言えるデータが発表され続けている。

 国民負担率。国税と地方税の「税負担」や、年金掛け金・健康保険料といった「社会保障負担」が国民所得の何%を占めるかというデータである。

 「国民負担率18年度42.5% 2年連続減、所得増映す」

 2月24日付の日本経済新聞はこう報じていた。「負担率が前年度を下回るのは2年連続。景況感の回復で所得が増え、負担率を押し下げた」としている。

 この記事は2月23日に財務省が発表した「2018年度(平成30年度)の国民負担率」を基に書かれた、いわゆる発表記事だ。財務省内にある記者クラブに詰めている若手記者が、財務官僚の説明をそのまま記事にしたのだろう。1年前に自分たちの新聞がどんな記事を書いたかチェックしなかったのだろうか。

 「17年度の国民負担率、横ばい42.5%」

 これが日本経済新聞の2017年2月10日付(電子版)の記事だ。つまり2016年度も2017年度も42.5%だとしていたのだ。「横ばい」と書いていたはずなのに、なぜそれが「2年連続減」になるのか。

 実は、この発表データは記者クラブの記者たちが何度も“だまされ”てきた、いわく付きの発表なのだ。