政治の介入で“救済”されるのではないか、という見方も

 それでも「東芝のような日本を代表する企業を上場廃止にできるはずはない」という声が資本市場関係者の間でも根強くある。オリンパスの時と同様、政権の閣僚が介入して“救済”されるのではないか、という見方もある。

 オリンパスの時は、上場廃止でオリンパスが破たんすれば、同社の内視鏡技術など日本の高度技術が中国企業に買われることになる、といった「上場廃止にさせない理由」が繰り返し永田町や霞が関に流布された。当時の民主党政権の大臣たちは、真顔でそれを信じていた。

 今回も「東芝が上場廃止で破たんすると、原子力技術が中国に買われる」といった危機感を煽る声が出始めている。

大企業は何をやっても上場廃止にはならないのか

 仮に、6月になって東証が東芝の上場維持を決めた場合、もはや特注銘柄制度の理念は空洞化することになる。上場したての会社はともかく、老舗の大企業は何をやっても上場廃止にできない、という事を満天下に示すことになるわけだ。

 有価証券虚偽記載罪は資本市場にとって万死に値する重大犯罪だ。不特定多数の投資家から資金を集める上場企業が、決算書を偽っていては市場の信頼が失われ、市場としての機能そのものが失われかねない。

 これは罰則規定をみても分かる。会社法で規定されている「計算書類等虚偽記載罪」(976条)は百万円以下の過料だが、株式を公開している会社を規定する金融商品取引法の「有価証券報告書虚偽記載罪」(197条)は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(または併科)が定められている。

 その大罪を犯しても上場廃止にならないとすれば、東証のマーケットは危なっかしいジャンク市場ということになってしまう。

 東芝の歴代3社長の刑事告発に東京地検特捜部はいまだに躊躇している。「個人の犯罪」としては立件するのが難しいという判断なのだろう。だとすれば「組織ぐるみの犯罪」であることは明らかで、ますます上場維持の可能性は小さくなる。