企業が「突然死」した時の影響の大きさに配慮

 もともと、東証のルールでは、「有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合で、その影響が重大であると当取引所が認めたとき」に上場廃止になると定められていた。ところがオリンパスの巨額損失隠し事件が表面化した後、「有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき」と条文を変えた。さらにその後、ルールを変え、特注銘柄の制度を導入した。

 なぜ、東証はそんな変更をしたのか。当時、最高経営責任者(CEO)だった斉藤惇氏の考えが大きかった。斉藤氏は野村証券副社長の後に務めた産業再生機構の社長時代、粉飾決算が表面化したカネボウの案件に直面した。上場廃止になることで経営破たんし、事業がバラバラに売却されていくのを目の当たりにしたのだ。粉飾が発覚した途端に上場廃止して企業が「突然死」した場合、株主に大打撃を与えるだけでなく、会社の再生も困難にすると考えたのだ。最初の条文変更で「直ちに上場を廃止しなければ」と「直ちに」という文言が入ったのは、そうした思いが色濃く反映されている。

 逆に言えば、特注銘柄制度の導入で、最長1年間半の猶予期間を与えたことで、その期間に問題を解決できなければ、上場廃止にするという姿勢を示したのである。

「二度と粉飾決算を繰り返さない」ことを示せるか

 決算発表すらできない現状の東芝を見る限り、「内部統制」が十分に機能し始めたと、胸を張ることは難しいだろう。東芝の不正会計が粉飾決算であることは2015年末に金融庁が東芝と監査をしていた新日本監査法人に課徴金を課し、会計士を処分した段階ではっきりしている。処分理由に金融庁が「有価証券報告書の虚偽記載」と明示しているのだ。東芝は「二度と粉飾決算を繰り返さない」ということを体制整備を通じて東証に示さなければならないが、期限が迫る中で、果たしてそれができるのか。

 3月15日に東芝から「解除」の申請がされた場合、東証が再び審査を行い、その結論は6月頃になる見通しだ。