昨年9月から12月まで開かれた秋の臨時国会(192国会)の会期は83日間。1月から6月まで開いた通常国会(190国会)は150日間だったので半分強の日数だった(なお、第24回参議院議員通常選挙の結果を受け、参議院の議長・副議長の選挙などが行われた「191国会」は昨年8月1日から8月3日までの3日間)。
臨時国会での衆議院の質問時間総計は2万3621分(393時間41分)と、通常国会の4万7238分(787時間18分)のほぼ半分で、ほぼ通常国会並みの質問量だったことになる。もっとも、通常国会自体、サミットや参議院選挙を控えて質問が低調だった国会で、その流れを引き継ぎ、決して議論が活発に行われた国会ではなかった。
野党の存在感の大きい参議院の方が、議論が活発化
参議院選挙で民進党などの野党が「阻止する」とした、憲法改正の発議が必要な「3分の2は取らせない」との方針は、参院選で打ち砕かれ、数の上では「改憲勢力」に3分の2を許した。ところが安倍内閣は臨時国会で積極的に憲法改正論議に踏み出すことは避け、憲法審査会での議論に委ねる姿勢を貫いた。予算委員会などで、憲法改正に関する安倍首相の姿勢を問う質問も、野党側から繰り返し出されたが、安倍首相は国会での議論に委ねるとして具体的な改正点などに言及することを避けた。参院選を受けて憲法改正が争点になるとみた左派野党の思惑が外れる結果になったことも、質問時間が伸びなかった一因だった。
一方、参議院の質問回数は総計803回に及んだ。衆議院の質問回数が926回だったことを考えると、議員定数が圧倒的に少ない参議院の方が相対的に活発な議論が行われた格好になる。会期が2倍近かった通常国会での参議院の質問が1354回だったことを見ても、192国会の参議院の質問は多かったとみていい。参院選では自民党などが善戦したとはいえ、圧倒的な多数を握る衆議院に比べれば、野党の存在感も大きいため、議論が活発化したと見ることもできる。
民進党の議員立法の提案が激減
臨時国会では、「議員立法」の提案件数に大きな変化が出た。民進党が誕生した190国会では、「批判だけでなく対案を出す党」を標ぼうした民進党が議員59人によるのべ268回の議員立法提案を行ったが、192国会ではこれが激減。18議員によるのべ20回の議員立法提案にとどまった。190国会では民進党と共闘を組んだ共産党も、のべ20回、議員立法を提案したが、192国会ではわずか2回だった。これにより衆議院全体の議員立法提案数はのべ43回と低調に終わった。
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