年金制度の永続性を無視して批判したのは間違い

 民進党が年金を政治テーマに掲げたのは正しい。だが、「年金カット法案」とレッテルを貼り、あたかも法案が通れば、自動的に年金がカットされるようなイメージを振りまいたのは戦術的に失敗だった。年金制度をどうやったら守れるかという点に目をつぶる格好になったからだ。年金制度は国民の人生に大きな影響を与える。だからこそ、全体像を俯瞰した批判が不可欠だったのだが、法案の一部をデフォルメした批判だったために、国民に響かずに終わったとみていい。

 年金運用のあり方についても民進党の追及は場当たり的だ。GPIFの2015年度の運用実績が5兆円を超える赤字になったのを受けて、同党は「年金損失5兆円追及チーム」を立ち上げた。5兆円の赤字という短期的な結果にだけ焦点を当てたために、その後の株価の回復と共にトーンダウンせざるを得なくなった。2016年10-12月期の運用結果が出る2月以降の国会では、もはや「運用失敗」をネタに年金問題を追及することはできないだろう。

安定的にみえる安倍内閣の最大の弱点

 では、株価の上昇と共に、年金の問題はすべて片付いたのかというとそうではない。このまま少子高齢化が進めば、年金掛け金を払う現役層は減り、年金を受け取る高齢者は増え続ける。今の制度のままでは、年金制度自体は破たんしないとしても、受け取る年金では生活ができなくなる可能性がある。

 年金制度のあり方や、年金資産を運用するGPIFの組織のあり方、運用体制などを根本から見直す必要があるのは間違いない。安定的にみえる安倍内閣にとって、最大のアキレス腱はかつてと同様、年金問題だと言ってよいだろう。