
可処分所得の増加がカギに
2018年も株高は続くのか。2017年の日経平均株価は、6年連続で前年末の水準を上回る「陽線」となった。前年をギリギリで上回った2016年とは違い、2017年の終値は2万2764円94銭と、1年前に比べて3650円57銭も上昇した。2018年の経済情勢の好調さを先取りする形で株価が大きく上昇したとみていいだろう。
安倍晋三首相が掲げる「経済好循環」をいよいよ実感できる年になりそうだ。企業業績の好調が賃上げによって家計を潤し、それが消費へと結びついてさらに企業業績を押し上げる。ポイントは、これまで実感が無かったビジネスマン層などが賃金の上昇を感じるほど、実際に使えるお金が増えるかどうか。つまり、可処分所得の増加がカギを握る。
企業業績の好調さや、安倍首相の財界への呼びかけもあって、2018年の春闘は5年連続でのベースアップが確実な情勢だ。首相は、定期昇給と合わせた「3%の賃上げ」を求めており、これが実現するかどうかが最大の焦点になる。大幅な賃上げが「流れ」になれば、経済好循環の歯車が回り始める。この循環を続けるには、職場の「生産性向上」が欠かせない。
デフレ経済が続いてきた中で、「生産性」というと、いかに1人当たりの賃金を抑えるか、経費を削減して利益を確保するか、という点に関心が向いてきた。結局、売り値を下げる以上にコストを抑えることに躍起になり、そのしわ寄せはほとんど従業員の「給与」や「働き方」に及んでいた。給与が増えない中で消費にもお金が回らず、経済規模が縮小していく、いわゆるデフレ・スパイラルが生活を圧迫することになっていた。
だが、デフレから脱却しつつある中での「生産性向上」は全く意味が違う。賃金上昇を前提に、それを吸収できるだけの売り上げを追求して利益を確保していく。労働時間を短くしても、むしろ生み出す付加価値は増える、という本当の意味での「生産性」向上が不可欠になる。そのためには、生産性が低い儲からない仕事を止め、より収益性の高い仕事へと従業員をシフトしていく、本当の意味での「経営」が必要だ。
そうした経営改革に取り組めるかどうかが企業が生き残れるかどうかの決め手になる。というのも2018年は人手不足が一段と深刻になるからだ。放っておいても人件費の相場は上昇していく。さらに安倍内閣は「長時間労働の是正」を掲げ、残業の上限を定める労働基準法の改正を行う方針だ。
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