オーストラリア戦で顕著だった日本の戦術の変化
過去のW杯予選では一度も勝てていないオーストラリアとの一戦。アウェイとはいえ、出場権を直接争うオーストラリアに勝ち点を奪われるわけにはいかない。背水の陣で臨んだ今回のオーストラリア戦は、意外な戦況だったことがデータからもはっきり読み取れた。
上の表は前回大会のW杯アジア最終予選を含めたオーストラリア戦のスタッツを比較したものだ。まずオーストラリアがこれまでのロングボールを主とした戦術からパスを多用する戦術にシフトしていることが読み取れる。パス数もそうだが、ロングパスの比率が一桁となり、これまで日本が主として取り組んでいたいわゆるパスサッカーをオーストラリアが体現しようとしていた。その完成度はまだまだという段階だが、この戦術の変化に日本は一時的に助けられたかもしれない。
そして、日本のスタイルにも意外な変化があった。日本のボール支配率がアジアでの試合ではなかなか目にしない30%前半にまで低くなっていた点だ。さらに、パスの内訳でもロングパスの比率が上がり、ワントップのポジションに入った本田にボールを預けることが第一選択肢となっていたようだ。そうした戦術を反映してか、下図に示したように、前回大会と比べて選手のプレー平均位置も低かった。
試合開始早々のショートカウンターからの原口のゴールが象徴的だったように、奪ってから早く攻めるスタイルは、もしかしたらハリルホジッチ監督が就任当初からやろうとしていたスタイルに近いのかもしれない。ただ結果は引き分けだった。
1ゴールだけではなかなか勝ちきれないのがアジア最終予選の常。ショートカウンター以外の“引き出し”がないままでは、今後も厳しい戦いが続くかもしれない。
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