
5年ぶりに開催されたキリンカップ。これまでも日本代表の強化にとって欠かせない大会であった。
今大会でFIFAランキング53位の日本が対戦したのは、20位のボスニア・ヘルツェゴビナと69位のブルガリアだった。ともに欧州選手権(ユーロ2016)への出場を逃しているが、親善試合以上のマッチメイクとしては申し分ない相手だと考えらえる。
事前の合宿を通して、9月から始まるワールドカップロシア大会アジア最終予選を見据えてのチーム及び個人の戦術が確認されたはずだが、怪我のため出場を見送った本田、初戦で負傷した香川という攻撃の軸を欠いたネガティブな一面があった一方、新戦力の起用を含め、各ポジションでの定位置奪取に向けモチベーション高く試合に臨めたという、予想外にポジティブな一面もあった。決勝(2戦目)でボスニア・ヘルツェゴビナに敗れはしたが、今大会を通して得られた成果について、データを見ながら振り返りたい。
枠内シュート率に表れた欧州サッカーの“上手さ”
今大会で対戦したブルガリア、ボスニア・ヘルツェゴビナは手応えのあるチームだった。
上の表に、ハリルホジッチ監督就任後の試合について失点と被シュート数に関連するデータを並べてみた。東アジアカップは海外組が招集されていなかったことを加味すると、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は、ハリルホジッチ就任以降で最も“綺麗”な敗戦だったと言える。これまでアジア圏内での勝負に小慣れていた中で、格上とされる相手との試合で敗戦を経験できたのには相応の意義があるだろう。
被シュート、被枠内シュート、被シュート枠内率を見てほしい。今大会の2試合はある程度の被シュートが記録され、その枠内率はともに50%を上回っていた。これが欧州サッカーの“上手さ”と言えるだろう。
ちなみに、日本のシュート枠内率(シュート、枠内シュート)はブルガリア戦では53%(19本、10本)、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦では22%(18本、4本)であった。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦ではシュート数では上回っていたが、枠内シュート数では相手が倍以上であったことが、ゴール数にも影響したと言える。
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