内政における失敗を、海外に向けさせることで覆い隠すという、為政者の典型的な動きですね。国連が絡む要素はありますか。小川和久氏の著書『日米同盟のリアリズム』の中に以下の主旨の記述があります。国際法的には朝鮮戦争がまだ続いているので、国連軍が存在している。米国が北朝鮮を攻撃するには国連軍の同意が必要になる。もちろん「国連なんて関係ない。米国は単独でも実行する」という場合もあるでしょうが。

川上:おっしゃるとおりです。なので、米国は国連安全保障理事会の決議を取ろうとするでしょう。米国が軍事力を行使するのは中国と話がついた時なので、中国は安保理を欠席もしくは棄権するなどして決議案を通すのではないでしょうか。

韓国は、米軍が北朝鮮を攻撃するときは韓国の許可が必要と言っています。

川上:それは意味がないと思います。韓国が何と言おうと、米国はやる時はやる。

韓国としては、何の発言力もないまま、自国が戦場になる可能性があるわけですね。

川上:そういうことになりますね。ある自衛隊OBがこんな話をしていました。米軍による攻撃が北朝鮮の戦力の40%しか破壊できない場合、北朝鮮による報復は非常に大規模になる。その場合、米国は核兵器を使用する必要が生じるかもしれない。核を使えば、北朝鮮の残った兵力を一掃することができる。しかし、これは一大事です。なので、少なくとも90%程度を破壊できる作戦を立てて実行するのだと思います。

朝鮮半島に核のない親中政権

米国が軍事力を行使した場合、朝鮮半島の戦後処理はどうなるでしょう。

川上:先ほど、米国の行動は空爆や特殊部隊の投入にとどまるとお話ししました。一つ考えられるシナリオは、地上での戦闘は中国軍が担当するというものです。そして核兵器を収容する。金正恩政権を継続させるか、別の政権を立てるかは、どちらもあり得ると考えます。いずれにせよ、核のない親中政権が誕生することになります。

米国が軍事力を行使すると、朝鮮半島に対する影響力をすべて失うことになりかねないわけですね。しかし放っておけば、米本土が核の脅威にさらされる。ここにジレンマが生じる。

 中国が米国に同意するのはどういう時でしょう。

川上:米国による軍事力行使に中国が同意するのは、経済面における米国の要求が過大になった時かもしれないですね。中国が北朝鮮を抑えきれないことに米国は苛立っています。