訪米した北朝鮮の金英哲氏(左)。この一行に、金聖恵もいたという(写真:AP/アフロ)

 マイク・ポンペオ米国務長官は5月に訪朝した時、北朝鮮の指導者から「安倍首相に直接繋がり、信用できる人物はいるか」と聞かれた。日朝の複数の関係者によると、同長官は「北村滋 内閣情報官がいる」と推薦した。これが、7月の日朝秘密接触の始まりだった。

 米朝に通じた当局者によると、秘密接触を仲介したのはポンペオ長官だった。日朝両政府は、双方の指導者へのパイプを繋げ、接触を続けている。

 北朝鮮はなぜ、突然、秘密接触を求めたのか。北朝鮮高官によると、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は側近に今年春まで「安倍は嫌いだ。拉致は解決済みと言え」と指示していたという。それが、突然態度を変えた。中朝首脳会談で習近平(シー・ジンピン)国家主席が、日本との関係改善を促したのが原因だという。

 日朝秘密接触を試みた北朝鮮の目的は経済制裁の解除・緩和だ。金正恩委員長は、必要なら日朝首脳会談にも応じる意向だ。2002年に日朝首脳会談を実現させた秘密接触も、制裁解除を目的に始まった経緯がある。

金聖恵とはいかなる人物か

 日朝高官による秘密接触は、7月15日にベトナム・ホーチーミン市のホテルで行われた。その後、1カ月半も報道されずに秘密が保たれた。双方は、秘密が漏れないように相当に気を使ったようだ。ホーチーミン市には、日本メディアの特派員はいない。韓国の情報機関の活動も活発でない。日朝接触は、いつも韓国の情報機関に妨害されてきたので、双方は慎重に場所を選んだ。