
韓国と北朝鮮の両首脳は、2019年年頭から危機に直面している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、支持率が昨年末に43%に落ち込み回復しない。今年は30%台に落ち込む公算が大きい。日本との関係は、自衛隊機へのレーダー照射事件で悪化したまま越年した。
北朝鮮の駐イタリア代理大使(大使は退去処分)の亡命が、年明けに報じられた。北朝鮮経済はマイナス成長で、外交も行き詰っている。習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪朝は見通しが立たず、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は訪韓できなかった。米朝関係も停滞し、軍部の不満に直面している。
反日世論を喚起し、支持率を高める
韓国国防省報道官は1月2日、声明で「自衛隊機が威嚇的な低空飛行をした」と述べ、日本に謝罪を求めた。「威嚇的」の表現は、友好国には使わない。この言葉には「悪意」と「挑発の陰謀」が込められている。「高位級の人物」との表現で、安倍晋三首相を批判したのも失礼で、安倍首相を怒らせようとの意図がアリアリだ。日本が怒れば、反日世論が盛り上がり、大統領の支持率アップにつながるとの“陰謀”を考えている。
ところが、朝鮮日報によると韓国のネット世論は冷静で、70%以上が「韓国政府の主張は信用できない」と書き込んだ。日本政府は、文大統領の“陰謀”に乗せられてはいけない。
報道官声明は、「争点をすり替える意図」が明白だ。「自衛隊機へのレーダー照射問題」を「日本の謝罪問題」に、すり替える“陰謀”だ。いつもの手口である。「レーダー照射は、自衛隊機を狙ったものではない」というが、それなら誰を狙ったのか説明がない
何かを隠そうとしている。
責任問題を隠そうとしている
事件が起きたのは、昨年12月20日の午後3時過ぎだった。昼日中の明るい時間帯で、海上も穏やかで相手を認識できる状態にあったのに、自衛隊機に攻撃を意味するレーダーを照射した。考えうる可能性は(1)自衛隊機に見られると困る行動をしていた(2)韓国軍はすでに自衛隊を敵軍と考えている(3)兵士が勝手に行なった――である。
韓国大統領はクーデターを警戒し、各師団や部隊の司令官の指揮と行動を厳しく規制し監視している。大統領が許可してもいないのに勝手にレーダーを照射することは、絶対に許されない。だが、誰かがレーダー照射を命じたから、事件は起きたのだ。その責任問題を懸命に隠そうとしている。
韓国海軍艦艇の作戦活動に、北朝鮮の漁船を救助する「任務」はない。偶然に発見した場合は救助するが、救助のために「作戦活動」をすることはない。自衛隊機が撮影した映像では、海洋警察の救助艇が作業を終える状態にある。海軍艦艇の救助行動は見られない。
Powered by リゾーム?