すぐに駆除が必要な特定外来生物でなければ、人間の価値観で守るかどうかを決める。

伊藤:水抜きをした池からカダヤシという魚が出てきたとき、僕、メダカと勘違いして家に持って帰ったことがありました。もともとメダカを飼っていたので、同じ水槽に入れたら一晩でカダヤシだけになってしまって…。後でネットで調べたら、カダヤシは攻撃的な外来種なので絶対一緒に飼っては駄目だと書いてありました。

五箇:メダカが絶滅危惧種だというのも国民の多くは知らないでしょう。

カミツキガメはおいしいらしい

伊藤:その一件もあってメダカをすごく守ってあげたくなりました。今、「守ってあげたい絶滅危惧種リスト」というのを作っていて、次の企画の種にしようと思っています。一番興味を持っているのがザリガニ。ウチダザリガニというのが北の方にいるんです。伊勢エビ級に大きくて、食べるとすごくおいしいらしいです。内田さんという人の名前に由来していて愛される名前なのですが、ある種悪者です。

五箇:北海道では、固有種のザリガニや稚魚を食べてしまうというので相当困っています。もともと食用の目的で輸入したから食べてしまえばいいんだけれど、今は食べない。

 外来種問題の最大の原因は、食べていたものを食べなくなったことです。ブラックバスもソウギョもライギョもどれも貴重なタンパク源でした。

伊藤:カミツキガメはおいしいらしいです。

五箇:カメは全般においしい。コラーゲンもいっぱい含んでいます。

伊藤:「カミツキガメ丼」を作ってランチに出したらいいって誰かが言っていました(笑)。

池の底で生態系に影響が出ているかもしれないのに、何十年もの間、水が抜かれていません。

五箇:生物多様性を守ること自体が、経済に直接プラスになりにくいからでしょう。水がきれいになった、在来種が戻ったと言われても、誰も儲からない。経済効果が見えにくいところが外来種管理の一番の泣き所です。地域の自然を守るのは地域のコミュニティーであるのが理想だとすれば、地域住民のモチベーションをどう高めていくかが重要になります。美しい池が戻り、そこにしかいない生き物が見つかれば町おこしの材料になります。

 番組でやっているプロジェクトはその1つの入り口だと思います。参加者はみんな興味津々です。地域住民が水抜きに乗り出すようになり、その様子を撮影しに来てほしい、手伝ってほしいという段階に入っています。1つのケーススタディとして有効だと思います。

伊藤:「水抜き」には、やっぱり人が集まってきます。親御さんは子供に体験させたい気持ちがあるのでしょう。イベントとしては相当な集客がある優秀なイベントです。地域の方がどんどんやっていった方がきっとそこにお客さんが集まる。その横でやきそばを売るかどうかは分かりませんが、それぐらい楽しみながらみんなで池をきれいにした方がいい。

五箇:それが1つの催事になれば、どんどん人が集まって地域経済が振興していくことになる。地方では過疎化の問題もあって、人を集めるのが難しくなっています。そういう意味ではすごくいい。きれいになった池や、もともとそこにいた生き物の姿を1回でも見れば、それを維持したいというモチベーションにつながっていく。持続可能な形で外来種を管理できるようになるでしょう。

伊藤:僕はテレビの人間なので、持続可能な行為というのを今まで考えたことがありませんでしたが、この番組がそれを考えるいいきっかけになりました。