番組では、毎回、「水抜き」の場に地元の人たちが大勢集まってきます。

伊藤:お陰かげさまで番組が好評な理由の1つは、小学生を中心とした小さい子供たちが反応してくれているからです。僕の息子も小学生で、生き物が大好き。危険外来種の本を図書館から借りてきて熱心に読んでいます。話題のヒアリのニュースも半ば面白がって見ている感じです。

 ただ、彼らはこれらの生き物が実際に野生で生息している姿を見たことがない。番組で、水を抜いた池からヤゴが出てきたけれど、トンボの赤ちゃんというのは知っていても見るのは初めてという子供が多いのだと思います。

 番組を作る側としても最初はただ面白がっていましたが、外来種とその対極にある在来種というのが気になってきました。なぜ外来種がよくないとされているのか、交雑や人間による乱獲によって在来種がいなくなってしまうことはあるのか、いなくならないようにするには何をすべきか。そんなことを考えるようになってきました。

500万年の歴史がふいに

五箇:それこそ価値観の問題です。在来種がいなくてはいけないというのは科学的に証明されていません。そこに生息する生き物がすべて外来種でも、生態系が機能していれば困ることはない。僕は外来種の研究を20年ぐらい続けていますが、外来種の何が悪いんだと思っている人が大半です。外来種が増えて在来種がいなくなっても自分の生活に関わることではないからです。

 だけれど、在来種が日本で進化した歴史を語ると、そういう人たちももったいないと思い始めます。例えば、日本のヒラタクワガタは、中国大陸から渡って来て日本固有の形と大きさに進化するまでに500万年ぐらいかかっています。それがいなくなるとしたら、500万年の歴史がふいになる。だから、やっぱり残しておいた方がよくないですかと言うと伝わりやすい。

 学者が頭ごなしに、在来種が大事で外来種はけしからんと一方的に押し付けていたのでは、外来種の問題は解決しません。

「水抜き」には地元住民が大勢集まる(左)。数時間かけて大量の水を抜くのは専門業者の仕事だ(右)
次回放送:『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦5』(テレビ東京系列) 11月26日(日) 夜7:54~ ©テレビ東京