五箇公一(ごか・こういち)氏
国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室室長。1990年京都大学大学院昆虫学専攻修士課程修了後、宇部興産入社。96年京都大学博士号取得。同年国立環境研究所入所。2016年から現職。専門は、保全生態学・環境毒性学・農薬科学・ダニ学。外来生物法の策定や農薬取締法の改正などに関わる。2017年、ヒアリの大量発見を受けて、テレビなどへの登場回数が急増中。(写真:鈴木 愛子)

五箇:本来なら、地域住民主体でするのが理想です。ですが、今は地域性そのものが失われていて、コミュニティーを維持するのが難しくなっています。東京はいろんな地域から来た人たちが集まり、地方は人がどんどん出て行っている状況です。
 だから、外来種の管理は国がやらなくてはいけないのが実情です。ただ、限界があります。なぜなら、どの生き物を守るかは、そこに住む人の価値観によるところが大きいからです。「タナゴを守りたい」「フナを守りたい」といった具合に地域によって大事にする生き物が違うので、「これはダメ」と国が法律で一律に排除するやり方は向きません。

 一方で、外来種が悪いとは必ずしも言えません。もとはといえば、持ってきた人間、飼っていた人間の都合にすぎないんです。例えばアメリカザリガニやウシガエルは食用として輸入していて、戦後間もない頃は日本国民を支えていた食料であったのは間違いありません。ところが、飽食の時代になって食べなくなったから、途端に外来種として扱われ、駆除の対象になった。人間の価値観や都合、時代によって、外来種の立ち位置は変わってきます。

 そういった意味で、法律という固いものよりは、地域住民がその時その時でその生き物をどうするかを決められる方が理想的でしょう。

番組で水を抜いて外来種を駆除した池にカワセミが戻ってきたことがニュースになりました。

伊藤:これは想定外でした。外来種がひなを食べてしまうので寄り付かなくなっていたんです。野鳥愛好家や地元の人はうれしかったと思います。釣り好きの人は悲しんだかもしれませんけれど。

たくさん釣ることだけが釣りじゃない

五箇:釣りをする人たちにもこれを機会に違った見方をしてみてほしいです。外来種の魚を池に入れたのは、大きい魚が常に釣れるようにする目的もあります。こうした行為は自然の河川でも起こります。

 北海道ではニジマスがけっこう放流されています。日本にもともといるアメマスやイトウが滅多に釣れず、釣り産業を維持するのが難しいから、いっぱい釣れる魚を放している。冷静に考えたら、たくさん釣ることだけが釣りじゃない。なかなか釣れないものを釣ることに本来の醍醐味がある気がします。自然と向き合い、そこでしか釣れない魚を釣るというかつての釣り文化に立ち返ってみるのもありじゃないかと。